シリーズ・筑豊を元気にする人々-中村尚儁

春に公開予定の映画「じゅういちぶんのいち」。原作はジャンプSQ.で連載中の人気漫画です。主人公の安藤ソラとその周囲の人々が悩み、苦しみながらも懸命に戦う姿には心を打たれます。基本的に一話完結の連作漫画ですが、登場人物それぞれが抱く強い想いを描いたこの作品は、熱く、そして温かい不思議な魅力を持っています。
 
宮若で描くということ
作者の中村尚儁さんは宮若市出身。編集部は東京にありますが、現在でも生まれ故郷である宮若市で制作を続けています。
「宮若市は自然が多くて心が癒されます。また、住み慣れていて心地よい環境なので、のびのびと制作ができるんです。宮若で気に入っている場所は千石峡で、八木山川上流にはよく遊びに行きました。他には脇田温泉もおすすめですね」
全国で人気の漫画が東京ではなく筑豊の宮若で描かれていると聞くと、何だか不思議な気分になります。
 
中村さんにとって宮若は生まれ育った特別な場所。物語に出てくるヒロイン「若宮四季」の姓は宮若市に合併する前の旧町名「若宮」と同じです。
「登場人物の名前を決めるのって、ちょっと恥ずかしい作業なんですよ。苗字は旧若宮町から拝借し、名は若宮町の四季の美しさが由来になっています」
込められた大きなテーマ「小さい頃から漫画を読むのが好きだったので、単純に自分も漫画を描く人になりたいと思っていました。 職業として真剣に考えだしたのは、大学の就活時期くらいです。 自分の将来を真剣に考えたときに、一度しかない人生だからずっとやりたかったことをやろうと、漫画家を目指す決心をしたんです」 小さい頃からずっと漫画家になりたいと考えていた中村さんが、作品で表現したいことの中に、大きなテーマがあります。
 
「以前、漫画は一人で作れると思っていました。けれど編集部の方々やアシスタントさんがいて、デザイナーさん、企画さん、営業さん、他にも数多くの人が手を抜くことなく全力で仕事をしてくれているんです。このことに気付かされたときは、本当に感動しました。自分もこの感動を作品で伝えられたらと思っているんです」
ひとりひとりのかけがえのなさ。集団の一員として自分の役割に全力を尽くすことの重要さ。これらの気持ちは、物語だけでなくタイトル「じゅういちぶんのいち」にも込められています。
作品の登場人物たちは、苦しみ、挫折を味わいます。そんなときに救ってくれるのは仲間や家族、大切な人の言葉です。そして、想いは力強く蘇る。この作品は、苦悩の末に立ちあがる復活の物語です。
「作品も、もうすぐクライマックス。人の想いは何よりも強いんです。人のこころの強さやつながりの深さを、精一杯描ききりますので応援よろしくお願いします」
中村さんの言葉は、作品に登場する魂のこもった言葉たちと同じように、心に深く響きました。
 

 WING編集部 大西洋子

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