今回は、ついつい星を眺めたくなる7月にぴったりの場所をご紹介いたします。
柄杓の形で有名な7つの星、北斗七星。その神秘さは古くから世界中の人々を魅了してきました。その北斗星の信仰にまつわる神社が嘉麻市大隈町に鎮座する、北斗宮です。
北斗宮は国道211号線からのどかな通りに入ると見えてきます。手前に駐車場の看板を発見しました。神社入口のお隣が駐車スペースのようです。
車を停めて、さっそく境内にお邪魔しました。北斗宮と書かれた石柱の周辺に、手水舎と社務所と鳥居奥の拝所があります。あとで知ったのですが、こちらの場所に車を停めても大丈夫だそうです。
正面の階段を上ると社殿があるのですが、参拝者が上らずに拝めるようにと、現在はお賽銭箱が手前にありました。そして頭上の大しめ縄は地域の個人の方が昨年奉納してくれたとのことです。地元の方の支えが垣間見られました。
星祈願絵馬(500円)
右手には社務所があり、授与品を受けられます。さて、今回ご紹介したいものが、星祈願絵馬(500円)です。鮮やかな青色が印象的ですね。中央の北斗七星が、どんな願いでも叶えてくれそうです。こちらの絵馬はやはり人気のようで、筆者も願い事をかいて奉納してみました。
おふだスタンド(3,000円)
お洒落なお札立てもありました。丸みを帯びたデザインは最近取り入れたものだそうです。最近は神棚を設置する場所に困る方が多く、お札立てが人気なのですが、このような丸みのデザインを筆者は初めて知りました。カジュアルでかわいらしくて良いですね。
御朱印(500円)
御朱印をお願いすると、宮司さんが丁寧に書いてくれました。御朱印は500円です。北斗七星の印、花のデザインでした。赤丸7つは北斗宮の社紋で、北斗七星からきているそうです。
ところで、北斗宮といえば外せないパワースポット、市指定天然記念物のご神木、大クスがあります。
社務所奥の道を覗くと「大楠神社」と書かれた石柱が見えてきます。大クスはこの先にあるのだとか。
道中、稲荷神社も見えてくる。
山道に入ると、一気に空気が一変します。爽やかな風をあびながら、ゆっくりと山道を登ります。比較的緩やかな登り坂なので、穏やかに進むことができました。
稲荷神社を越えてすぐに、お目当ての大クスが現れました。
根本が非常に大きくて圧倒されます。
説明によると、樹高約45m、胸高周囲5.80m、枝張り約14mだそう。驚くべきことにこちらの楠は樹齢600年の子クスとのことで、さらに大きな初代大クスが存在していたそうです。
初代の大クスの貴重な写真
初代大クスは「筑前国続風土記」の中に記載されています。樹齢なんと二千数百年と言われています。この大きな幹の中に、大楠神社の祠が存在していたのだとか。幹の中の神社とは、さぞかし神秘的な光景だった事でしょう。
もともとは橋の反対側奥に大クスが存在していた。
しかし初代大クスが枯れてしまったのをきっかけに、今では2代目大クスの隣に祠は移動したそうです。
大楠神社を抜けてそのまま山道を登ると、北斗宮の社殿が現れました。自然豊かな空間に佇むお社の風格は立派なものです。北斗宮は、1331年に若木連という人が北斗大明神を勧請し、縁結びの神として尊崇を集めたのが起源となります。
社殿の中は絵馬でぎっしり。この地域は奉納絵馬が多かったらしい。
社殿が焼失し、御神体を大クスへ遷した事が大楠神社のはじまりとなりました。1580年に現社殿が建立され、「下江益神社」という社名を経て、1967年に「北斗宮」と社名が改められました。
北斗宮 大里宮司
今回、ご丁寧に北斗宮の事を解説していただいたのは、こちらの大里宮司。神職はおひとりとの事ですが、近いうちに息子さんが来られるそうです。ご親切に、社務所の中に招き入れてくださいました。
社務所の中には、祈願を行う祭壇がありました。祈願者が階段を上らずにすむように配慮されています。基本的にいつでも祈願ができるそうで、祈願を受けたい方はお電話で相談すると良いそうです。
左上には大里宮司の父親である、先代宮司の姿も。
壁には、かつての火渡り神事や春季大祭など、北斗宮の歴史を刻んだ写真がズラリと並んでいました。
なかでも山笠の写真が印象的でした。毎年、記念撮影をしたのでしょうか。白黒写真からカラー写真まで、子どもたちの集合写真が並んでおり、時の流れを感じながらも、形そのままにお祭りが受け継がれていっているのだなとしみじみ感じました。
テーブルの上には奉賛の方々の名前が刻まれた提灯の準備が並んでいました。てっきり夏祭り用かと思いましたが、どうやら次の正月にむけた準備とのことです。
「社紋は7つの丸なのに、9つあって修正が大変だったよ」と可愛らしく笑う大里宮司でした。そんな間違いもあるのですね。社紋はきれいに修正されていましたよ。大里宮司の苦労が見えた瞬間でした。
今回、初めて北斗宮を訪れてみて、パワーをたくさん浴びることができました。自然のエネルギー満載の大クスや、北斗七星が光る青色絵馬などは必見です。そして大里宮司の人柄が優しく、心が温まりました。
次の行事は、7月30日の大祓祭、わごし祭だそうです。半年の穢れを落とし、心願成就が叶うように、皆さんもぜひ北斗宮へ訪れてみてはいかがでしょうか。