日常に「楽しい」「ワクワクする喜び」を感じて
飯塚本町商店街の一角にある巨大モニュメント「大きなイス」や八木山展望台の「しあわせの鐘」、田川市伊田の「百年(とわ)の鐘」を一度はご覧になったことがあると思います。
作者は筑豊を代表する現代アート作家 そのだ 正治さん。
幼い頃から絵を描くことが好きで、色んな世界を見てまわってこられましたが、気づいたのは自分の育った地元をアートであふれる街にしたいということだそうです。
コロナ禍の今だからこそ、そのださんのようなブレない姿勢と行動が輝いて見えました。
コロナ禍で変化したこと
新型コロナウイルス感染拡大の影響で展覧会やイベントは無くなりましたね。そんな中、5月の末に飯塚市鯰田にある「疫神社」へアートな門扉を奉納しました。もともとここは100年前に疫病が流行ったときに建てられた神社ですが門扉もボロボロで…。扉には身近に生息する植物や蝶、バッタなどを取り入れ、角を生やした像は太陽のエネルギーで鬼の姿に化けて災いを祓うというイメージで作り、疫病退治と終息の願いを込めました。
12月には大分八幡宮に依頼され、たくさんのハートの形で造られた絵馬とおみくじ掛けを設置しました。しあわせの結びとして皆さんに大変喜んでいただけたようです。
今となっては、コロナ禍で充分に時間があったからこそ本当に自分がやりたかったことが実現できたのだと思っています。
写真は飯塚本町商店街のヲソラホンマチ「幸福猫と銀龍」の一部
鉄を使用したものが特徴的ですが?
きっかけはニューヨークに住んでいた知人を訪ねた時のことです。
ニューヨークでは一定の敷地面積範囲にオブジェがなくてはいけない条例があり、街の至るところに設置されていました。すべての人は気づいていないかもしれないけれど、街を歩くだけでアートに触れられる―。芸術は日常の中にあるもの。
自分が住んでいる街もこんな風にしたい、と熱いものがこみあげました。
そんな想いから、屋外でも耐えられる素材(強化プラスチック)を使ってやっていましたが、さらに長く耐えられる素材〝鉄〟に行きつきました。鉄での制作をするようになり、もう28年位になりますねぇ。
幸いなことに僕の周りには鉄をあつかう建築家がたくさんいたのでアドバイスをもらいながら何とかここまでこれました。
ギャラリー内では作品販売も行っております。掲載の写真は一部です。売り切れの場合がありますのでマサジアートギャラリーまでお問合せください。
ハートの形がモチーフとして多いですね
50歳になって決心したことがあります。
今までの自分は、自分のために作品を作ってきた。でもこれからは人のため、人が喜んでくれるものをカタチにしよう。
これまでもテーマにしてきた「ほっとする」「楽しい」「ワクワクする」イメージをハートの形で表現することにしました。
ひとりひとりの小さなハート[思いやりや優しさ]でも、それが集まれば世界はあっという間に変わるはずです。皆さんも街なかでハートの作品を見かけたら僕の想いに触れてください。
昨年の12月。飯塚本町商店街のヲソラホンマチに「幸福猫と銀龍」を設置しました。この2体もまたすべてハートの形でできているんですよ。
間近で見ることができますのでお買い物がてらご覧になってみてください。
そのださんが手がけるものは作品ばかりでなく、店舗の看板だったり、家の表札だったり身近なものもオーダー製作してくれます。個性豊かで手づくり感たっぷりの暖かい風合いが大人気です。
そのださんの夢を教えてください。
筑豊には優れた芸術性をもった作家さんたちがとても多いです。でもなかなか表現する場所や環境がないのが現状です。昨年アートの街で有名な直島で展覧会をしたのですが、街全体がアートであふれていました。いつ行っても色んな作家さんたちの作品に触れられるのです。
素晴らしいことだと深く感銘を受けました。
若い頃、ニューヨークでオブジェを見て自分の街もあんな風になれたらいいのに…と思った気持ちがまたさらに強いものになりましたね。
自分が生まれ育ち、今ここにいる場所をアートにあふれる街にする。そしてそれを見た人たちに楽しいとかワクワクする喜びを感じていただきたい─。それが僕の夢です。
アートであふれる街になる日が楽しみです。
ますますのご活躍を期待しています。
ますますのご活躍を期待しています。
text_Masako Yamamoto
Profile
そのだ正治
現代アート作家。
1959年生まれ。飯塚市在住。幼少期より芸術に触れ、芸術の道を歩む。
1987年に二科展入選。
以後筑豊の様々な場所でモニュメントやオブジェの制作を手がけてきた。
8年前に若手芸術家発掘のための現代アート活動“たのしいげいじゅつ”運動をたちあげ、昨年は飯塚本町商店街で“エンガワアートプロジェクト”を開催。
地元筑豊をアートにあふれる街にするための活動を積極的に行っている。
そのだ正治
現代アート作家。
1959年生まれ。飯塚市在住。幼少期より芸術に触れ、芸術の道を歩む。
1987年に二科展入選。
以後筑豊の様々な場所でモニュメントやオブジェの制作を手がけてきた。
8年前に若手芸術家発掘のための現代アート活動“たのしいげいじゅつ”運動をたちあげ、昨年は飯塚本町商店街で“エンガワアートプロジェクト”を開催。
地元筑豊をアートにあふれる街にするための活動を積極的に行っている。
Masaji Art Gallery
マサジアートギャラリー
〒820-0001 福岡県飯塚市鯰田2299-5
0948-29-4877
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