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コラム

愛すべき筑豊弁


あなたはこの方言の意味を知っていますか?
WINGが誕生して早や13年の時が経ちました。
行く先々でたくさんの方々と出会い、色んな事を学ばせていただきました。
本当にありがとうございました。
特にご高齢の方と会話する中、昔ながらの筑豊弁でおしゃべりされると「わぁ懐かしい!!」と微笑ましく思いました。
明治、昭和、平成、令和と時代が流れても息づく愛すべき方言。
13周年を記念して今回13個の筑豊弁を選んでみました。
知ってる、知らない…だけでなく方言の意味を紐解くとコミュニケーションの輪がさらに広がるはずです。

例 

 

あるしこ
あるだけ全部。

焼き芋そんだけな?
あるしこやり。
焼き芋それだけしかないの?全部ください。

主に対面でのお買い物の際に使う。
あるしこねでも通じる。アルシコヤンナイと文字に起こすと何かの学名っぽいが、ぽいだけ。

すいい
酸っぱい。

この梅干しばっさ、すいいっちゃ!
この梅干しすごく酸っぱいよ!

酸っぱいを表現する際、すいぃ~と言った方が生唾が出るほどリアルに伝わる。けして発音良くSweetと言っているわけではない。

なんかかる
もたれる。寄りかかる。

暑苦しいき、なんかからんで。
暑苦しいから、寄りかからないで。

物体や人体など物理的なものに寄り添い、それを支えとして体重を預ける様だが、心など精神的なケース(頼るなど)には使わない。

ちんころこまい
とても小さい。

鈴木さん家のチワワな、ちんころこまいで愛らしいげな。
鈴木さん家のチワワは、とても小さくて可愛いらしい。

ちんころこまいも小さいという意味。響きが何ともユニーク。小さくて小さい。やや馬鹿にした感はあるが悪意はない。たぶん。

ふうたんぬるい
どんくさい。

あんた、昔からふうたんぬるかったきねぇ。
あなた、昔からどんくさかったよね。

馬鹿にしつつも何となく憎めないといったニュアンスだが、マジ何しよって!という場合にも使うので語感に注意。
ふうたら(はっきりしない・うっすら)+ぬるい(鈍い)。

でたん
超。ものすごく。

でたんお腹が痛かったげな。
超お腹が痛かったらしいよ。

超○○○というニュアンス。超でかい=でたんふてぇ。でたらめを短縮したという説もあるが、でたんやき…といった場合はその意味に近い。
ばっさ・ばさらなども同じ意味。

とんぴんつく
調子付く。調子に乗る。

もう!あれが、またとんぴんついてから!
もう!あの人また調子に乗ってるよ!

とんぴんはるともいう。やんちゃな筑豊男子、おてんばな筑豊女子に対して使う場合が多い。
とんぴん=お調子者。
つく=調子付くの「付く」。はる=調子に乗るの「乗る」といったニュアンス。

なし
なぜ。どうして。

なし、梨、食べんかったん?
なぜ、梨を食べなかったの?

梨のなしとは微妙にイントネーションが違う。筑豊人には聞き分ける能力が備わっている。
なしか?なしな?なしや?…など、語尾に一文字つく場合も同様。基本問いかけだが、特に意味がないこともある。

めいぼ
ものもらい。

めいぼがいっちょん治らんき、病院に行ったばい。
ものもらいが全く治らないので病院に行ってきた。

初めて聞いた時、名簿ができる?名簿が治らない?と錯乱。目にイボだからめいぼ。ものもらい(麦粒腫)というよりしっくりくる。めぼ・めぇぼも同じ。

こちょぐる
くすぐる。

脇腹をこちょぐられてたまらんかったぁ。
脇腹をくすぐられて我慢ができなかった。

コチョコチョくすぐるからこちょぐるになった?
友達とこちょぐり合いして笑い転げる、そんなウブな幼少時代が懐かしくもこちょばい
ただし母性本能をこちょぐるとは言わない。

きない
黄色い。「来い」「おいで」という意味も。

きないバナナを買ってきない
黄色いバナナを買っておいで。

比較的ご高齢の方が使う方言。卵の黄身もきなみと言ったりする。
各色あるのに、なぜ黄色だけをきなというのか摩訶不思議。ちなみにきな色とは言わない。

しゃあしい
うるさい。やかましい。ウザい。

勉強せんねち、親がしゃあしいき遊びに行かれん。
勉強しなさいと親がうるさいので遊びに行けない。

筑豊以外の人が聞くと首をひねる。やかましい!黙れ!と言われるよりしゃあしい!の一言で場が和む場合もある。

なんかなし
とりあえず。兎に角。
なんとなく。

なんかなし食べてみてん。
兎に角食べてみて。

確証はないけど…。いろんな事はさておいて…という筑豊人の大雑把な、そして短気な性格が感じられる方言のひとつ。
世代を超えて今なお使われている。

筑豊弁は、旧筑前国系の飯塚弁と旧豊前国系の田川弁に大きく分類できますが、旧筑前国に属す直鞍地区内でも直方弁・鞍手弁・宮田弁など、地域によって細かな違いが散見されます。
言語はもともと変化しやすい性質を持っています。地域やコミュニティなどで必然的に多様化していく傾向があり、筑豊弁もその例外ではありません。

また、かつて日本の主要な石炭の産地であった筑豊地方は、財閥企業・大手資本の進出を背景に、全国から労働者が集まったという歴史もあり、現在使われている筑豊弁はその影響を経ていると言えるでしょう。
この記事に掲載した方言も、地域によって言い方や意味合いが微妙に違う場合があります。ご了承ください。

愛すべき筑豊弁 2

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