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〈筑豊びと〉ダーツの魅力を伝えたい。PERFECT所属プロダーツプレイヤー 弘瀬翼さん

2022年8月にダーツのプロテストに合格し、筑豊・北九州を拠点にプロダーツプレイヤーとして活動されている弘瀬翼さん。
昨年12月、弘瀬さんご本人より直接情報をいただき、今回福岡県で全国的に見ても大規模でハイレベルな大型大会が開催されるということで、大会当日にお話を聞かせていただけることになりました。
 



会場となるのは、久留米市東相川にある地場産くるめ。
総床面積1,640㎡の総合展示場に集うのは、今大会にエントリーした約280人の選手と大会運営スタッフ、そして現地で観戦し声援を届けるダーツファンの方々です。
予選のスタートは10時10分なのですが、到着した9時45分には既にメインの駐車場が満車状態。
車を停めて外に出た瞬間から感じられる会場の匂いや音、会場に向かって行きかう人々に期待感が高まります。
 



一般の方はまず、総合展示場前で入場証を購入します。
会場のトイレがこちらの右手側にあるので、ユニフォーム姿の選手ともすれ違うことがありますが、やはり雰囲気が違いますね。
選手名やスポンサー企業のロゴなどがデザインされ、各々の特色が出るユニフォームからはプロである風格が感じられると共に、ファンの方が応援したい選手をすぐに見つけられるという効果もあるのだろうな…と、そんなことを考えながらいよいよ会場内へ。
 



入るとまず想像以上の人の多さに圧倒されます。
中央のテーブル席は休憩兼食事スペース(フード出店もあり会場内で飲食ができます)で、人々の会話からはダーツ用語などを小耳にはさむこともしばしば。
今回の取材がなければ筆者の人生では決して触れることがなかったダーツ好き達を目の前にして、「一体どこにこんな人達がいたのだろうか」と改めてダーツ界隈の潜在性を実感しました。
 



会場の壁沿いにはダーツ台が80台程配列されていて、予選開始前の時間で選手達のウォーミングアップが行われています。
選手一人ひとりがその日のコンディションを把握し、スローイング(ダーツを投げる動作、略してスローとも)の際のベストな力の入れ具合などを確認する大切な時間です。
 



こちらは正面にあるステージ。この中からYoutubeでの配信台が選ばれ、全世界に向けた生配信も行われます。
予選から決勝戦までを通してリアルな雰囲気でお届けされる配信では、競技シーンにおける人々の注目度を物語るように、この日も最大2,000人以上の同時接続人数となりました。
 



定刻になると予選が始まり、試合の様子を後ろから観戦させていただきました。
予選は5人(あるいは6人)のグループの中で全員が4試合を行い、予選を通過するには勝敗などから決定づける順位で、少なくとも上位3位以内に入る必要があります。
 



ここでダーツのルールを簡単にご説明。
大会では主に2種類のルールが採用されます。
メジャーなのが01(ゼロワン)と呼ばれる、持ち点を減らしてピッタリ0を狙うルール。
予選でも主にこのルールで試合が行われ、1対1でどちらが先に持ち点を0にするかのハラハラな試合展開は、見ていてわかりやすいのもメジャーである所以です。
そして、中心に近い程点数が高いと思われがちですが、ダーツボードの得点はシングル、ダブル、トリプル、ブルの4種類が基準となります。
ブルというのがボードの中心ですが、その得点は25点もしくは50点。
最も高い得点はブルよりも狭い面積である、20のトリプル(60点)なんです。

もう一つのルールはCRICKET(クリケット)という、いわゆる陣取りゲームです。詳しくは割愛しますが、対戦相手との駆け引き・読みあいがとても奥深いルールです。
 



弘瀬さんは、最高得点である20のトリプルよりも、19や16のトリプルを得意とする選手。
外した際に入る得点が20を狙い外した時よりも高くなるというメリットの他、対戦相手を揺さぶる効果もあります。
このように、ダーツは単純な精度・技術だけで決まる勝負ではなく、お互いの心の奥の探り合いや、試合の組み立て方なども影響してくる、とても深い競技なんですね。
試合を見ていても、ここで狙うのか…!と驚きの連続で、ぴったり0にしなければいけないルール上、常にお互いに逆転の目が消えない試合内容は、非常に見ごたえのあるものでした。
 

提供:弘瀬翼さん(過去の大会)



予選は惜しくも通過とはなりませんでしたが、試合の最後にはお互いの健闘を称えて握手を交わす姿に、競技の美しさ・スポーツマンシップの精神が窺えました。
敗退した直後で悔しさも残る中だったとは思いますが、弘瀬さんの方から声をかけて下さり、お話を聞かせていただける運びとなりました。
 

提供:弘瀬翼さん



プロになったきっかけは何ですか?
きっかけは5年前、一般とプロが混ざって行われるダーツの大会に友人が出場することになり、その応援に駆け付けた日のことです。とある女子プロダーツプレイヤーの方に目を奪われ、その人のようになりたいと強く思うようになったことがきっかけで、ダーツに打ち込むようになりました。
その後インターネットカフェのダーツスペースなどを活用し、主に独学で練習を積み重ね、昨年の8月にようやくプロダーツプレイヤーになるためのテスト(実技試験)を合格しました。
出身は嘉麻市ではありますが、現在は筑豊のみならず北九州でも大会出場など活動を行っています。
 


選手名鑑を拝見して、1981年生まれだと知りました。大変なことなどはありませんでしたか?
私のように40代になってからプロを目指す人も意外と多くいます。
中には70代で現役を続けるプロや、還暦を迎えてもなお活躍している方もいらっしゃいます。
逆に、10代で活躍する方や、他の活動(アイドル活動など)と兼業で人気を集めるプロもいるくらいで、選手の多様性や年代の幅広さは、他の競技にはなかなか無いと思いますね。

そんなダーツという競技ですが、大変なことと言えばその日によってコンディションが変わることでしょうか。
投げ方など細かい要素を少しずつ変えながら試行錯誤の日々の中で、大会本番に自身のポテンシャルを最大限引き出すのはとても難しいことです。
そんな中でも、自分の身体を思い通りに動かすことが出来て、その日のベストなスローができた瞬間、狙った場所にドンピシャで入った時にはこれ以上ない喜びと、ダーツの楽しさを味わうことがあります。
ダーツを続けているのはその瞬間があるからだと思うし、やっている人にはわかると思いますが、これがダーツの魅力といっても過言ではないですね。
 



ダーツの矢はいくつかのパーツでできていて、カスタマイズできると知りました。何か弘瀬さんのこだわりはありますか?
矢は特に金属の「バレル」という部分が重要で、愛用のマイダーツは2年以上使い続けています。
特にデザイン面では、私自身マインクラフトの「エンダーマン」というキャラが好きで、ダーツやユニフォームのカラーをエンダーマン仕様にしています。
ユニフォームの胸ポケットの紫色の部分は、エンダーマンの目をイメージしているんですよ(笑)

そうだったんですね(笑)確かに言われてみればそんな風に見えてきました。
 

新調したオーダーメイドのマイダーツ



未経験者の方に向けて、ダーツという競技やダーツの大会におけるおすすめの楽しみ方などを教えてください。
ダーツは一人でも黙々と練習し追求していく楽しさがありますし、友達とワイワイしながら楽しむのもまたダーツの良さだと思います。
そして、どんな競技についても言えることですが、大会は同じものを好きな者同士が集まる場でもあるので、必ず共通の話題があるのも良いですね。そこから別の共通の趣味に転じて思わぬ発見があったりと、大会をきっかけに仲を深めることもあります。
先ほどの話にも繋がりますが、ダーツ繋がりだったはずの人がいつの間にか一緒にゲームをする仲になっていたりしますね。
 

記念に頂いたオリジナルデザインのシール(100枚限定)



最後に、今後の夢や目標などあれば教えてください。
夢はやはり、大会で優勝することですかね。
いつか自分の目指すダーツで優勝して、今日の最強は俺だー!と言える日が来ると良いなと思います(笑)
目標は、子どもや学生が憧れるようなダーツプレイヤーになることと、子どもたちをはじめとして、もっと多くの人にダーツの楽しさを広めることです。
筑豊では学校にダーツ部がほとんど無いので現状難しいですが、将来的にはもっとダーツが普及して、子どもがダーツに触れる場にプロとして関わることができれば、職業冥利に尽きると思います。
そのためにも、今回のように取材に受けたりしながら、少しずつでもダーツの認知度を上げていくことが今自分にできることなのかなと。
 

ダーツってどうしても若者達の夜の遊びみたいな、お酒が絡んだりしてアングラ的なイメージが拭いきれない部分もあるのですが、実際には本当に魅力的な人が沢山いて、始めてみると沼にはまっちゃうくらい面白い競技なんですよ。
今回の取材を通して、そんなダーツの”本当の姿”を伝えることができれば嬉しいなと思いますね。
 

今回は筑豊を飛び出し、久留米市の会場でダーツの魅力や弘瀬さんの熱い思いをじかに触れてきました。
WINGではそんな筑豊の隠れた魅力やそこにかける人々の思いを、これからも随時発信していきます!
ご興味ある方はお問い合わせフォームから、皆様のご連絡をお待ちしております。
 

今回の筑豊びと

弘瀬翼(ひろせつばさ)
1981年生まれ。嘉麻市出身。
2022年8月プロ資格取得。現在は筑豊や北九州を拠点にPERFECT所属プロダーツプレイヤーとして活動。
得意ナンバーは19トリプル、16トリプル。趣味は寺社仏閣巡り。

PERFECT選手ページ
@HKThirotsuba
@tsubasa_hrs
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nagano

nagano

WING編集部

田川市出身。2023年の秋ごろから1年程携わった編集部での活動を通じて、写真や記事についてたくさん勉強させてもらいました。現在は主に動画での店舗紹介に関わりつつ、新しいことを吸収する日々。AIには作れないものを残していけたら良いなと思います。

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