いのちの大切さ〜ようこそ赤ちゃん！新米ママへ贈る言葉〜〈菜の花助産院〉稲冨博美

昨年11月。地域に密着した母子保健活動で活躍した人を表彰する「第41回母子保健奨励賞」を受賞された稲冨 博美さん。
全国で僅か15名。福岡県の代表として選ばれメディアにも度々取りあげられました。
今なお、菜の花助産院の助産師としてひとりひとりのお母さんに寄り添い、赤ちゃんとの関わり方を様々な角度から支援されている稲冨さん。新米ママへのアドバイスをいただくと同時にあらためて、いのちの大切さを考えたいと思います。

ありがとうございます。
助産院を開業したと同時に月2回「ママデイサービス」という生活体験型の子育て支援教室をやっています。もう15年以上になりますが、地道にこの活動を続けてきたことが評価され嬉しく思います。
お産前までは仕事中心だった生活から、いきなり家事と子育ての両立は大変です。
教室では子どもと遊んだり、体にやさしい料理を一緒に作ったり、講座を開いたり…。
お母さんと赤ちゃんがリラックスできる空間を大事にしています。
時代を反映し、産後ケアはこれからますます必要とされるはずです。産褥入院や日帰りのショートステイなどを上手に利用するのもおすすめです。

母から私をお産した際の話をよく聞かされていたのですが、小学6年生の時にお隣の赤ちゃんを預かる機会があり、あまりの可愛さ、赤ちゃん特有のいい匂い。
特にすべてをお見通し（笑）の透き通った瞳に惹かれ「赤ちゃんに携わる仕事をしたい」と助産師を志すことにしました。
赤ちゃんの瞳ってすごいですよね。じっと見つめられると嘘をつけないし、駆け引きもできない。赤ちゃんと真摯に向き合うことで私たち大人は試されているのかもしれません。

これまで1000人以上のお産に立ち会いましたが、色んな思いや形がありそれぞれにドラマがあります。
自然分娩でも様々なパターンがあり、家族みんなに見守られて産みたいとか、好きな体勢で産みたいとか…。
よくよく考えてみたら、お産をするのは人生の中でそんなに何度もあるわけではありません。だからこそ貴重な体験が最高に幸せだったと思えるものであって欲しい。そのための努力は惜しまず、お母さんの夢を叶えるお手伝いをしたいと思っています。

産後に限らず、妊娠中から不安や悩みは尽きません。そんな時はひとりで閉じこもらずに周りの人に思い切って打ち明けましょう。
当院でお産された方になりますが、月１回「ほっとタイム」を開催しています。赤ちゃんの定期健診に加え、ベビーマッサージをしたり、おやつでお茶会したり、お母さんたちとの交流の場としても大変好評です。
赤ちゃんの成長だけでなく、お母さんたちの自信にあふれた表情を見ると私もホッとします。他にもお母さんたちの心配ごとが少しでも改善するように様々なケアを行っていますので、ぜひご相談ください。

一番の願いは、赤ちゃんと絶対的な信頼関係を築いてほしいということです。
赤ちゃんは生まれた時、何ひとつ自分ではできませんよね。だからお母さんは子どもが何を要求しているのかを察知して行動します。その受け答えが延々に繰り返されるうちに「この人は自分を理解してくれている。なくてはならない人」と認識するのです。
私はこの絶対的な信頼感がその後のその子どもの人生を左右すると確信しています。
忙しい中でもおいしい手料理を作って食べさせると子どもの記憶に母の味として刻まれます。決してあきらめず、結果として〝楽しかった〟と思っていただけるようなお手伝いをこれからも続けていきたいと思います。

Profile
稲冨博美
平成元年5月 助産師免許取得。むなかた助産院勤務などを経て、平成17年 菜の花助産院を開業。現在、一般社団法人 福岡県助産師会 副会長を務める傍ら、九州大学大学院や福岡県立大学大学院、日本赤十字九州国際看護大学大学院、聖マリア学院大学などでの講義や実習を行っている。

菜の花助産院
〒820-0086 福岡県飯塚市津原663-9
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