「トマトサラダに載ってるのはモッツァレラチーズ、ナチュラルチーズって何だっけ?…」チーズに関しては超初心者レベルで取材に向かいました。そして今回、チーズを熱く語ってくれる筑豊びとは、なんとイタリア人。まず、「日本語大丈夫かしら??」そんな不安を抱えて、工房のある嘉麻市へ。
ご自宅の隣に真っ白でかわいいチーズ工房Cacio(カチョ)はありました。
迎えてくれたのはオーナーでチーズ職人のシモーネさんと奥様の依吏子さん。どこから見ても清潔感あふれる爽やかな感じのご夫婦です。
この時点で日本語が通じることがわかり安心しながらも、イケメン職人を前にしてドギマギしながら取材が始まりました。
シモーネさんはイタリアのどちらの出身ですか?
僕はミラノで生まれ育ちました。
ミラノと言えば大都会ですね。どうして日本へ来られたのでしょう?
僕は日本のアニメや漫画が大好きでした。それでどんどん日本に興味が出てきて、独学で日本語を学びました。ひらがな、漢字はすごく面白いです。
日本の建物などもとても美しく、日本が大好きになりました。
そんなに日本をほめてもらって嬉しいです。日本に来られたのはいつですか?
10年前に日本に来て、最初は福岡のイタリア会館でイタリア語の先生をしていました。
その後も製薬会社の仕事に就いたのですが、自分にやれることが他にもっとあるんじゃないかと思ったんですね。
自分の進む道を探されていた訳ですね。
チーズの道へ入られたきっかけが知りたいです。
意外に知られてないんですが、イタリアは世界で一番チーズの種類が多い国なんです。
僕は料理するのが好きだったので、日本のイタリアンのおいしい店に僕が作ったチーズを使ってもらい、コラボレーションして、イタリアの文化を広げていけたらなと思ったんです。それで一度イタリアへ戻り、チーズを作るための学校へ通いました。
元々、主人はイタリアで農業高校に通っていたのです。科目は違うのですが、今の仕事にもつながってるのかもしれません(依吏子さん)
どうして嘉麻市を選ばれたんですか?
妻の実家が近かったことと、江藤牧場といういい牧場があったのでここに決めました。
この工房は2022年11月にオープンしました。準備には1年かかりました。
これから嘉麻市でがんばられるということですね。ご家族は息子さんがイタリアを離れることは寂しかったでしょうね。
はい…それはちょっと…ひとりっ子なので。
でも今年、父が日本に来て、3ヶ月もここに滞在しました。
工房で洗い物をしたりしてくれました(笑/依吏子さん)
それはよかったですね。息子のしっかりがんばる姿を見て、お父様も安心されたでしょう。
チーズのことを聞かせてください(伺った時は生乳を殺菌している最中でした)。
チーズ作りはとてもデリケートです。機械やホースの圧力でも味が変わってしまったりするので手作業が一番なんです。
たとえば、チーズを入れて置く容器の高さや大きさによっても味が変わったりしますよ。
えー?同じ材質の容器でもですか?
そうです。深さのある容器はその分、圧力がかかったりして味が変化します。
それは興味深いです。チーズって繊細なんですね。
冷蔵庫の中を見せてもらっていいですか?
開けた途端、チーズのしあわせな香りに包まれました。色んな種類のチーズがぎっしり入っています。
上:60ℓ分のカステルディ嘉麻(A)・下:青カビのロビオラ
温度は11℃です。毎日120ℓの量でチーズを作ります。普通はその半分の量、60ℓの生乳がこの約一個の量です(写真Aの上段の参照)。水分が抜けて12%になってしまうんですね。
60ℓが12%に旨味が凝縮されるんですね。とても贅沢ですね。
現在は15種類ぐらいの種類を作っていますが、いずれもっと増やしていきたいです。
特別に作った120ℓ分のカステルディ嘉麻〈チーズ工房 Cacio提供〉
シモーネさんが作るイタリアチーズは地元嘉麻市の生乳100%、フレッシュタイプと熟成タイプどちらも防腐剤などの保存料は使用していないそうです。
今回は熟成度が違うチーズを3種頂きました。同じ材料と思えないほど、味が違います。菌が活きていて熟成が進むと味わいが深くなっていくんですね。
熟成チーズでも食べやすいカッチョティーナ〈チーズ工房 Cacio提供〉
とても酸味が効いていておいしいですね。Cacio のチーズはどこで買えますか?
うすいの道の駅や、カッホー馬古屛、カホテラスでも売っています。オンラインでも購入できます。
身近なお店でも買えるのは嬉しいですね。遠方の方はオンラインで買えるのはとてもありがたいです。
今後の夢があったら教えてください。
もっと大きな工房にしてチーズの種類も増やしていきたいです。他にはいろんなチーズに合うお酒を出せるチーズバーをやってみたり、面白いことに挑戦したいです。
ジャムやはちみつと一緒に。フレッシュなロビオラ〈チーズ工房 Cacio提供〉
チーズが中心のバーなんて、すてきな構想ですね。
取材が終わる間際、Cacioの評判を聞きつけて、イタリア人のご家族が「ボンジョルノ~」とお見えになりました。嘉麻市の静かな住宅街にイタリア語が飛び交う、ちょっと心が踊った瞬間でした。休日は近隣のイベントにも出店されていますので、気軽に声をかけてみてください。シモーネさんが作ったチーズが嘉麻発信で広がっていく未来が見えた気がします。これからも奥様とこの工房をじっくり熟成させていって欲しいと思いました。
Information
チーズ工房 Cacio
〒820-0303 福岡県嘉麻市中益395-12
工房に販売所はありません
050-3595-0032
11:00〜17:00
土・日曜日、祝日
メール
チーズ工房 Cacio
@cacio.di.kama
チーズ工房 Cacio
〒820-0303 福岡県嘉麻市中益395-12
工房に販売所はありません
050-3595-0032
11:00〜17:00
土・日曜日、祝日
メール
チーズ工房 Cacio
@cacio.di.kama