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地域と共に生きる社会づくりを目指して


飯塚市相田にある「特別養護老人ホーム くぬぎ苑」(社会福祉法人櫟会)では、一人ひとりの暮らしの習慣や個性を大切にする〝暮らしの継続〟を理念の一つに掲げ、地域の方々と笑顔や暮らしが共有できる環境を目指しています。
2018年には企業主導型保育園の「くぬぎ保育園」が開園。
さらに本年、重度の医療ニーズを必要とするお子様方に対してケアを行う事業所の開設に伴い、新たな取り組みが始まりました。
今回は、社会福祉法人櫟会の児童発達支援管理責任者である福元 麻美さんにお話を伺いました。

新設された事業所と取り組む内容・特徴

はい。今回新しく開設したのは、心身に重い障がいを抱えており、呼吸器を装着していたり喀痰吸引が必要といった、非常に手厚い医療的ケアを必要とされるお子様を受け入れることができる事業所です。ちょっと長い名前になりますが、『重度心身障がい児の医療的ケアを必要とする児童発達支援と放課後等デイサービス』という名前で、1日に5名の方まで、一人ひとりのニーズに沿った必要なケアをスタッフ一丸となって提供させて頂きます。

手厚いケアを必要とされる児童向けの環境

私の知る限りでも、現時点でこのような事業所はかなり少ないのではないかと思います。私達の事業所の大きな特徴のひとつとしては、特別養護老人ホームと併設していることにより、看護師・保育士・管理栄養士・機能訓練士や児童指導員など様々な分野の専門スタッフとの連携が非常にスムーズであることです。ご本人や親御さんとのコミュニケーションを行うにあたり、このような豊富な人材の厚みに加え、長年行ってきた特別養護老人ホームや保育園事業で培った経験と、櫟会が目指す理念が大いに役立っていくと考えています。
特別養護老人ホームや保育園も含めた櫟会全体としての考え方に『暮らしの継続』や『その人らしさ』といった理念を共有している所から始まっているからです。年齢や性別、環境や状態に関わらず誰もが隔たりなくありのままに過ごしていく社会づくりを目指して、理事長を筆頭に全てのスタッフが共有・共感して日々取り組んでいます。一例として、お一人おひとり皆暮らしのリズムやスタイルが異なるということから、以前よりくぬぎ苑では『24時間シート』といったものを活用してきました。ご飯の食べ方から入浴時間、中にはお酒の割り方についてなどといった、その人にとって普通の暮らしがくぬぎ苑でも継続できるようにと導入しているものです。これは理念を元に導入されたものなので、この『24時間シート』のベースが新しい事業所においてもそのまま活用していけると考えています。

どのような連携を行われるのでしょう?

例えば、看護師は2名が対応いたします。医療機関や主治医との連携はもちろん行いますが、今回のように日常的に医療ニーズを必要とするお子様たちにおいては、何よりも親御さんやご家族の方が一番の教科書となります。
何年もお子様と一緒に過ごされた親御さんは、本当に細かいポイントや一人ひとりのささいな変化についても的確に情報を教えてくれます。看護師のケアの判断をサポートいただける存在として親御さんとのコミュニケーションが最も重要になってきます。
他にも、保育士や児童指導員、機能訓練士や管理栄養士などとも常にコミュニケーションを取って連携をしています。
具体的には、機能訓練においては、事前に利用している他事業所に見学に行き情報収集し、利用の際にその子にあった訓練を行います。リハビリでの取り組みでは、首の座り・寝返り・起き上がり・四つ這い・座位・立位など基本的な姿勢の安定を目標とした訓練を行います。
入浴では、機械浴・リフト浴があり、その子にあった入浴ができます。

目指していること

ただ単純に教育的な指導を行うだけでなく、一緒に遊んだりご飯を食べたりといったことが大事だと考えています。機能訓練ひとつにおいても、興味のあるおもちゃや活動を取り入れることによって、手で握る・離すといった動きやコントロール、追視といった行動が自然に楽しく行えるようにお子様の課題や目的に合わせています。また、食事をする際にも予め準備をしてから提供するのではなく、お子様の目の前で加工する前の料理を認識してもらってから、細かく刻んだりといった加工を行うなど、できる限りの事を精一杯行っていきながら、児童が心身ともにすこやかに成長できるようにお手伝いさせていただいています。
今回の事業所においては、お子様だけでなく、親御さんやご家族といったサポートしている方々が気軽に相談できる場所でもありたいと思います。実は子どものSOSを受け入れる場所はあるのですが、親御さんのSOSを受け止める場所はほとんどないため、多くのケースにおいて親御さんが我慢してしまいがちです。親御さんに余裕がない状態が長く続くと、最終的にお子様も含めて皆さんが犠牲になってしまう場合があります。もし、子育て等で『余裕がないな~』『わが子は可愛いのに優しくなれない』『相談できる人がいない』などお一人で悩んでいる方がいましたら、いつでも気軽にご相談ください。少しでも楽しく子育てができるように気軽に相談していただくことで、気持ちが楽になって子どもに笑顔をみせられるパパ・ママでいてもらえたら嬉しいです。
特別養護老人ホームの中に今回新しく本事業所が開設したことにより、一つの建物内で小さい子から100歳を超える高齢者まで、とても広い世代間の交流が自然と生まれていく場所になりました。
地域と共に生きる事業所として、隣の保育園も含めて、子どもからお年寄りまで、健常者・障がい者・性別等に関係なく、誰もがありのままの暮らしを送っていけるような地域・社会になっていけたらいいなと、心から感じています。

本日はありがとうございました。
text_Nobutoshi Kakuho

重症心身障がい児の医療的ケアを必要とする児童発達支援と放課後等デイサービス
くぬぎ苑 放課後等デイサービス開設

くぬぎ苑の理念

その人(子)らしさ
・一人ひとりの個性を大切にし自分の持てる力を伸ばします。
・個々の発達や成長に合わせた支援を行います(未来に繋げた支援)
・障がいの特性に応じた自立生活への基礎を作るための支援を行います。
共感
・子どもの気持ちを受容し共感しながら継続的な信頼関係を築いていきます。
・本人を支える家族や支援者がメンタル的にも安心できるよう心に寄り添う支援をします。
喜び・笑顔
・笑顔を大切にした優しい事業所を目指します。
・笑顔で幸せに暮らせるように事業所を通じて土台作りをするお手伝いをします。
地域とのふれあい
・地域の方々や関係機関と良い関係を築き、様々な方とふれあう機会をつくります。
・地域の一員として地域活動を積極的に行います。

利用者募集中
一人ひとりのお子様の個性をみつめ、生きていく力を身につけるお手伝いをし、生きる喜びを一緒に探していきます。
保護者の方のサポートも行っています。

サービス提供時間
児童発達支援
10:00~15:00
ご利用日/月~金曜(学校休業日を除く)
放課後等デイサービス
授業終了後/14:30~17:30
学校休業日/10:00~16:00
ご利用日/月~金曜日
※一日のスケジュールについてはお気軽にお問い合せください。

特別養護老人ホーム くぬぎ苑
〒820-0052 福岡県飯塚市相田114-1
0948-24-8000
くぬぎ苑

掲載内容は記事作成時の情報となります。

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