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〈筑豊びと〉辻養蜂場 辻諒太さん

ここ最近、筑豊でも若い世代の人たちの活躍が注目されています。
中学2年生の時、祖父の趣味だった養蜂に興味をもち養蜂家になることを決心したという嘉麻市の辻養蜂場代表 辻 諒太さん(31歳)。
彼に初めて会ったのは5年前。あの頃に比べると顔も日焼けしずいぶん逞しくなりました。でも相変わらず蜂のことに真剣なのはちっとも変わっていませんでした。
養蜂家として、養蜂場の代表としての想いや今後の夢をお聞きしました。
 

一代で養蜂場を築いたのは何がきっかけだったのですか?
 



母の実家なんですが、祖父が蜂を趣味で飼っていて遊びに行くと庭先に蜂の道具がフツーに置いてあったんです。そもそも虫好きでしたからね。おもしろそうだし、養蜂を仕事にできたらいいなぁって考えてたところに母のひと押しがあり、心が固まった感じですね。中学2年生の時でした。
 


それからずっと養蜂の道に?

はい。福岡県農業大学校卒業後、朝倉市の藤井養蜂場に弟子入りしました。
3年間みっちり勉強し2015年に独立。23歳の時でした。地元嘉麻市で開業したかったので念願が叶って嬉しかったです。早いもので、開業して今年で8年になります。あっという間でしたね。
 
開業当初に比べ、変化したことはありますか?
 



以前より巣箱を置くには最適の場所が増えたことですね。
もともと地元嘉麻市と飯塚市だけで採れたハチミツしか作ってないのですが、山のふもとで、広葉樹が多く人が手つかずのいい場所にたくさん置けるようになりました。
それから、以前に比べレンゲのハチミツがよく採れるようになり、出来も良くなってきました。前は百花蜜に混ぜてたのですが、味もハッキリしてきて今では純粋100%のレンゲのハチミツとして販売しています。
 

 
百花蜜はどんな花の蜜なんですか?
 

レンゲハチミツ 500g 2,750円/300g 1,850円/180g 1,250円
百花蜜 500g 2,250円/300g 1,450円/180g 1,100円



香りが強いといわれている、クロガネモチやハゼの花がメインです。その近くにヘアリーベッチという花も咲いていて、これが加わることで味わいがクリアになるんです。ひとさじ舐めると口の中で花の香りがふわっと広がり、後口が爽やかなのがうちの百花蜜の特徴ですね。
 


 
ますます食べたくなりました(笑)新蜜の時期はいつですか?


採蜜期間はレンゲでしたら4月初旬から5月初旬まで。百花蜜は5月下旬から6月初旬になりますので、新蜜はレンゲハチミツだと6月。百花蜜だと7月には販売します。
新蜜は採れたてなので青くささも感じるほどフレッシュで香りも強いです。
それが日にちが経つとまろやかになり、どんな食べ物にも相性が良くなるんです。新蜜より時期を遅らせた方が好きだとおっしゃる方もいますよ。
 
同じ蜜でも2度味が楽しめるんですね!
養蜂の仕事のなかで辻さんが特にこだわっていることは何ですか?
 



ハチミツを採るスパンを短くすると量が採れますが、自分はそれをしたくないんです。
糖度が80〜81度になる頃を見計らって採ります。糖度がそれ以下だと味が薄くなりますし、かと言って高い方が美味しいという訳ではないんで…。
蜜の溜まり具合を観察してまだだなぁと思ったら、2〜3日待つだけ。その間、蜂が蜜を濃縮させ、糖度を高めてくれるので頃合いをみながら採取します。回数は減るけど、自分で納得のいくものだけをお客さまに提供したいですからね。
一貫してこだわっているのは、ミツバチを育て地元嘉麻市や飯塚市で採れたハチミツだけで作ることです。万が一、気候や環境のせいで蜜の量が減ったとしてもできる分だけで販売。国産ハチミツだからといって、他のハチミツを混ぜあわせたりはしません。
自己完結、自己責任の世界です。自分に嘘をつかずハチミツを作っていきたいです。
 

 
ハチミツはどんな工程を経て販売されるんですか?
 



採れたハチミツは最初必要な量だけ販売用に取っておき、あとはステンレスのタンクに落とし込み保管します。冬は固まるので、専用の温蔵庫で数日温めて容器にいれます。工程としてはごく単純です。
大手メーカーの場合は全国各地からハチミツを仕入れてそれを食品用のタンクに貯めてかくはん機で混ぜて味を均一化させて出荷します。
同じ国産ハチミツでも、うちは自分のとこで採れたハチミツだけを使っています。
そこが、まったく違うんですよ。
 


 
新たに取り組みたいと考えていることありますか?


一般の方々は養蜂に触れる機会がほとんど無いかと思います。
これまで繁忙期に学生のバイトさんに手伝ってもらったり、料理人の方に頼まれて案内したりしていましたがこれからは積極的に見学を受け入れようと考えています。養蜂を身近に感じ、知ってもらう機会を増やしていきたいです。
それとクラウドファンディングもやりたいですね。蜜源植物をさらに増やし、返礼品としてそこで採れたハチミツをお渡しする…。皆さんと一緒に養蜂を共有できたらいいなぁと考えています。
 
辻さんの今後の夢を教えてください。
 



意外だと思われるかもしれませんが、いちご狩りができる観光農園をつくりたいのが夢です。
実は嘉麻市のりんご村の近くに倉庫があるんですが、その横の農地が広くて車の出入りも良さそうなんです。”蜂といちご”ってだいたい密接な関係がありますから、ぜひやりたい!と2年前から考えてました。
この辺りには観光農園がないので、僕の夢がいつか現実になってたくさんの方に喜んでもらえた嬉しいです。
 


 
今回はありがとうございました。
養蜂家として、養蜂場の代表として状況を冷静に受け止め改善し常にプラスに捉える。そんな辻さんの夢は無限大ですね。今後がますます楽しみになりました。


筑豊びとの熱い想いが
もっと遠くに、
もっと多くの人に届きますようにー。
 

辻 諒太(つじ・りょうた)
1991年生まれ。嘉麻市在住。
福岡県農業大学校卒業後、朝倉市の藤井養蜂場で3年間弟子入り。
2015年辻養蜂場開業。

辻養蜂場
開業当時から一貫しているのは、「ハチミツ作りはミツバチを育てるところから」。
丁寧に愛情をかけて育てたミツバチだからこそ採れるハチミツの味があるはずです。
顔の見える安心安全な養蜂場として地元筑豊のハチミツの良さを多くの方に伝えていければと思います。

【主な販売店】
道の駅うすい、ハローデイ柏の森店、ハローデイ穂波店、フードウェイ稲築店 他


Information
辻養蜂場直売所
〒820-0202 福岡県嘉麻市山野2055-66
0948-43-1756
9:00〜17:00
不定休
配達等で不在の場合あり。
来店前にご連絡ください。
辻養蜂場
@tsuji_apiary
 

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