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19: 心不全に合併した心房細動へのカテーテルアブレーション
末期の心不全に合併した心房細動(af)に対するカテーテルアブレーションの治療効果を確認した臨床試験(CASTLE-HTx)の結果が2023年10月12日にNew England Journal of Medicineニューイングランド ジャーナル オブ メディシン誌に掲載されました。
試験の対象となったのは、ドイツの心移植も考慮される末期の心不全に症状のあるafを合併した症例を標準的な心不全治療と標準的なafに対する薬物療法を行った97例の対照群と更にカテーテルアブレーションを行った81症例の介入群で、中央値18ヶ月の期間(14.6~22.6ヶ月)観察し、全ての原因の死亡数・人口補助心臓の植え込み数・緊急の心移植術数を一次指標として両群を比較しています。その結果、観察期間中に介入群では8例で一次指標の出来事が起こったのに対し、対照群では一次指標が29例で認められ、ハザード比0.24とカテーテルアブレーションの有効性が確認されました。
同様の臨床研究の報告は、CASTLE-AFやAMICA等幾つもあり、afの再発・心不全での入院・左室駆出率の改善・全ての原因での死亡、いずれの指標でもカテーテルアブレーションが薬物療法のみよりも優る結果が示されています。
そもそもafでは、左心房が300~600回/分の頻度の異常興奮の多発・異常興奮の局所回路旋回で正常の心房収縮機能を消失しており、この心房収縮は心拍出量の20%を占めると云われています。他にもafが心機能を低下させる機序としては、心室への不規則な刺激で心拍出量の25%が減少する・頻脈により拡張期の充満時間が短くなり心拍出量が減少する・交感神経系が活性化され、Caイオンチャネル代謝が混乱しレニンーアンジオテンシンーアルドステロン系が賦活ふかつ化され水分貯留する・左房拡大により機能性僧帽弁閉鎖不全症が発生する、なども挙げられます。
afに対してカテーテルアブレーションを行い正常な洞調律に戻す事が心機能の改善・心不全の改善・死亡率の低下に繋がる訳です。
af、特に発作性心房細動、一年以上経過していない早期の持続性心房細動では、異常興奮の90%以上が肺静脈で発生しそれが左房内での局所回路を回旋している事が判り、カテーテルアブレーションで肺静脈と左房間の電気的隔離術が行われ洞調律に戻します。しかし、長期間持続したafに対しても肺静脈隔離術を施行して洞調律に戻す事が可能とは限らず、適応症例の鑑別が重要になります。
欧米の学会の提言では、洞調律に戻す事が困難な症例に対し房室結節にアブレーションを行い人工的に房室ブロックを作りペースメーカー植え込み術も併用する治療も選択枝に挙げられています。
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