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23: 微小プラスチックは動脈硬化の危険因子かも
マイクロプラスチック/ナノプラスチック(MNPs)とは、径5mm以下/1000ナノ(1/10億)メートル以下の微小なプラスチックを指します。
プラスチックは、様々な食品・化粧品・水道管にも使用され、微小プラスチックは今や、雨や水道水・魚などの海洋生物・大気などにも含まれており、飲水・食物消化や呼吸・吸気や皮膚への曝露で人体内に侵入します。そしてこれまでに、MNPsは人体では胎盤・肺・肝臓・母乳・尿・血液などで見つかっています。
今までの試験管内・生体外での研究では、ある種のMNPsは血管内皮や血管の細胞内で酸化ストレス・炎症反応・アポトーシスを惹き起こす事が判っており、動物実験ではMNPsは心拍数を変動させ、心機能を障害し、心筋の線維化・血管内膜機能不全を惹起する事が確認されています。つまり、MNPsは新たな心血管疾患の危険因子かもしれないのです。
2024年3月7日付でNew England Journal of Medicineニューイングランド ジャーナル オブ メディシン誌にイタリアの研究グループは頸動脈の動脈硬化の粥腫内にMNPsを認めた症例群と認めなかった症例群を40週弱の期間観察し、非致死的な心筋梗塞・非致死的な脳卒中・様々な原因による死亡などの有害事象の発生数を比較した研究結果を発表しました。
70%以上の狭窄率がある無症状の頸動脈硬化の粥腫に内膜剝離術を施行した症例257例の粥腫標本にMNPsが無いか、ガス-クロマトグラフィー・質量分析・電子顕微鏡を用いて検査し、炎症反応の生体的指標も測定し、平均33.7±6.9ヶ月の観察期間の有害事象の発生数をMNPs群と非MNPs群で比較しました。
その結果、全症例数の58.4%でポリエチレンが粥腫内に21.7±24.5㎍/mgの濃度で見つかり、12.1%の症例でポリ塩化ビニールが5.2±2.4㎍/mgの濃度で粥腫内に認めていました。そして、MNPsを粥種内に認めた症例群は、認めなかった症例群よりも有害事象が発生する危険性がハザード比4.53倍と高い事が判明しました。
この研究結果が、直ちにMNPsを動脈硬化の原因と証明した訳でもありませんが、関連性は示しており、今後更に大規模かつ長期間の研究が必要でしょう。又、興味深い事に11種類あるプラスチックの内、ポリエチレンとポリ塩化ビニールの2つしか粥腫で発見されておらず、この2種類のMNPsが他のMNPsより動脈硬化の病原性が高いかどうかも研究する必要性がありそうです。
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