15: 体の上下動で高血圧が改善する
適度な運動で高血圧が改善する事は、良く知られています。しかし、何故運動すると血圧が低下するのか、機序は判っていません。2023年7月7日に国立障害者リハビリテーションセンターを始めとする日本国内9つの大学を含む共同研究グループは、ラットを用いた実験と人間の成人を対象とした臨床試験で、適度な運動が高血圧を改善させる仕組みを発見したと、報道機関に公表し、成果はNature Biomedical Engineering誌に掲載されました。
ランニングなどで足が着地すると地面からの物理的衝撃が頭部に波及し、脳組織に微小変形が生じ、脳内の細胞間を満たす間質液の流動が促進されます。その事が延髄の血圧調節中枢領域の星状細胞にあるアンジオテンシン受容体(アンジオテンシンは血圧上昇作用を持つ生理活性物質の一つです)の発現を抑制し、高血圧が改善する:以上の機序をラットを用いた実験で明らかにしました。人の軽いジョギングに相当する運動がラットでは分速20メートルの走行で、この走行中にラットの足が着地する度に約1G=(重力加速度:9.8m/S²)の強度の衝撃の力がラットの脳に掛かる事が判明し、高血圧を自然発症する高血圧ラットに麻酔をしてラットの頭部に1Gの衝撃が加わる様に毎秒2回受動的に上下に動かす事を一日30分・2~3週間継続すると、脳内の間質液の流動性が増し血圧が降下する事が分かりました。そして、ラットの延髄での間質液の流れを阻害すると適度の運動・受動的頭部上下動による血圧降下の作用は打ち消される事も確認されています。
人間でも軽いジョギング(時速7km)では足の着地時に頭部に1Gの衝撃が加わる事が分かり、これを再現する座面が上下動する椅子を作製し、20代から80才代の高血圧27症例に対して一日30分、週に3回座面上下動椅子に座る事を平均4.5週間継続すると、開始前平均収縮期血圧142mmHgが試験終了時には133mmHgに低下し、この血圧改善効果は試験終了1ヶ月後まで持続していました。
水泳・水中歩行・自転車漕ぎなど、重力の影響が少ないとされていた運動でも頭部に0.5Gの衝撃が加わっている事も今回の研究で判り、ラットの実験では、0.5Gの頭部への衝撃でも1Gの衝撃と同程度の血圧降下作用を認めていました。
以上の研究は、肢体不自由障害者や寝たきりの高齢者にもこの上下動する椅子の様な装置を使う事で擬似運動療法が適用され、運動による様々な効果を獲得出来る可能性を示唆しています。
ランニングなどで足が着地すると地面からの物理的衝撃が頭部に波及し、脳組織に微小変形が生じ、脳内の細胞間を満たす間質液の流動が促進されます。その事が延髄の血圧調節中枢領域の星状細胞にあるアンジオテンシン受容体(アンジオテンシンは血圧上昇作用を持つ生理活性物質の一つです)の発現を抑制し、高血圧が改善する:以上の機序をラットを用いた実験で明らかにしました。人の軽いジョギングに相当する運動がラットでは分速20メートルの走行で、この走行中にラットの足が着地する度に約1G=(重力加速度:9.8m/S²)の強度の衝撃の力がラットの脳に掛かる事が判明し、高血圧を自然発症する高血圧ラットに麻酔をしてラットの頭部に1Gの衝撃が加わる様に毎秒2回受動的に上下に動かす事を一日30分・2~3週間継続すると、脳内の間質液の流動性が増し血圧が降下する事が分かりました。そして、ラットの延髄での間質液の流れを阻害すると適度の運動・受動的頭部上下動による血圧降下の作用は打ち消される事も確認されています。
人間でも軽いジョギング(時速7km)では足の着地時に頭部に1Gの衝撃が加わる事が分かり、これを再現する座面が上下動する椅子を作製し、20代から80才代の高血圧27症例に対して一日30分、週に3回座面上下動椅子に座る事を平均4.5週間継続すると、開始前平均収縮期血圧142mmHgが試験終了時には133mmHgに低下し、この血圧改善効果は試験終了1ヶ月後まで持続していました。
水泳・水中歩行・自転車漕ぎなど、重力の影響が少ないとされていた運動でも頭部に0.5Gの衝撃が加わっている事も今回の研究で判り、ラットの実験では、0.5Gの頭部への衝撃でも1Gの衝撃と同程度の血圧降下作用を認めていました。
以上の研究は、肢体不自由障害者や寝たきりの高齢者にもこの上下動する椅子の様な装置を使う事で擬似運動療法が適用され、運動による様々な効果を獲得出来る可能性を示唆しています。
11/Jul/2023