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18: CKM症候群:新しい病態
心血管-腎臓-メタボリック(代謝)症候群(Cardiovascular-Kidney-Metabolic Syndrome: CKM症候群)は、アメリカ心臓協会(AHA)が2023年10月9日に発表した新しい病態です。肥満・2型糖尿病などの代謝異常と心血管疾患・慢性腎臓病(CKD)が合併している状態では、虚血性心血管疾患・心不全・脳卒中・末梢動脈疾患・心房細動などの発症・進行の危険性が著しく高まる事から提案されました。
CKDと心血管疾患に関連がある事は、心-腎連関と呼ばれ以前から認識されていましたし、メタボリック症候群と心血管疾患と関連がある事も判っていました。
では、何故CKM症候群を提案したのでしょう?一つは、肥満・糖尿病の関連した医療費が米国内で年間5千億ドル、間接的な医療費でも年間1兆ドルも掛かり、死亡率を上げている事があります。又、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)は、欧米では、60歳以上の高齢者・BMI30以上の肥満・CKDの合併・心房細動合併例に多く近年増加傾向にあり、HFpEFへの治療へは元来糖尿病治療薬であるSGLT-2阻害剤が唯一エビデンスを持ち、同じく抗糖尿病薬であるGLP-1受容体作動薬のセマグルチドもHFpEFへの適応が認可される可能性が高く、従来想定されていなかった心血管疾患の病態にも肥満や2型糖尿病などの代謝異常が大きく関与しているとの認識が広がっています。CKDへの治療にも糖尿病の有無に関係なくSGLT-2阻害剤が用いられ、CKDも代謝異常の影響が大きいと、見做されつつあります。
提言ではCKM症候群を30歳時から正常を含め5つの段階に分けそれぞれの対処・予防・治療を述べています。重要なのは、全ての病態の基礎に肥満・内臓脂肪の蓄積による炎症反応・インスリン抵抗性の増大があると指摘している事で、SGLT-2阻害剤とGLP-1受容体作動薬を使用・併用する場合が多い特徴があります。
この提言は、アメリカの状況に即したものであり、日本の事例にそのまま当て嵌めるには、留保が必要でしょうし、あくまで第一歩であり、今後も変更・修正が定義・段階分け・予防/治療アルゴリズムの全てに加えられるでしょう。しかし、心血管疾患・CKD・代謝異常の関連が密接であり、統合的に捉える事の重要性を強調した意義は大きいと思います。
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18/Oct/2023
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