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27: 排便回数と健康状態
排便回数は、腸内細菌叢さいきんそうの種類を決定する最大の要因であり、食事内容、水分補給、肉体運動量、腸管粘膜産生の低分子物質(胆汁や短鎖脂肪酸)、蠕動ぜんどう運動を行う消化管の平滑筋などの影響を受けます。
短鎖脂肪酸は、大腸での腸内細菌の発酵により生産され、人間では酢酸・酪酸・プロピオ酸の三つが主な短鎖脂肪酸で、免疫調節機能・有害物質に対する大腸でのバリア機能・食欲抑制作用・肥満/糖尿病の予防作用・カルシウム/マグネシウムの吸収促進作用・腸管蠕動促進作用などの人体に有益な機能を持っています。
排便回数が週1~2回の便秘の状態では、腸内細菌叢が便の食物繊維を使い果たし短鎖脂肪酸の産生が減少して、糖分解発酵から蛋白分解発酵を行う様に変化し、腎毒性のある物資(3種類のインドキシル硫酸やパラクレゾール硫酸・パラクレゾールグルクロニド・フェニルアセチルグルタミン)の産生が増加して神経変性疾患や慢性腎臓病の進行を促進するとの報告があります。実際に、透析療法中の腎不全の症例の71%に慢性的な便秘が認められますが、60歳以上の人口では33.5%にしか便秘は認められません。又、便秘は、うつ病・パーキンソン病・アルツハイマー型認知症と関連性も示唆されています。
2024年7月16日 Cell Reports Medicineセル リポーツ メディシンに掲載された米国シアトルのグループの研究は、2015年~2019年の期間に1425人の健康な成人において排便回数の違いは腸内細菌叢・血中代謝物・生活習慣に違いが見られ、特に便秘の状態では、腸内細菌由来の毒素である3種類のインドキシル硫酸・パラクレゾール硫酸・フェニルアセチルグルタミンの血中濃度・炎症反応が高く、便秘が慢性腎臓病などの慢性疾患の重要な危険因子である事を示唆している、と報告しました。
排便回数が1~2回/日の正常の排便回数のグループでは、果物・野菜などの食物繊維の多い食品を良く摂取し、水分補給量も多く、定期的に運動している傾向が強い事も判りました。
赤身肉に多く含まれるカルニチンの腸内細菌での分解物TMAは肝臓で代謝されTMAOとなり、動脈硬化を促進させます。この様に様々な疾患と腸内細菌叢は関連性があり、正常な排便回数を維持する事は、健康維持に重要です。
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