29: 左室駆出率が保たれた心不全にフィネレノン
左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)、左室駆出率が軽度低下した心不全に対するフィネレノン(Finerenone)の効果を検証した国際的臨床試験(FINEARTS-HF)の結果が 2024年9月1日にNew England Journal of Medicineに発表されました。
元来フィネレノン(商品名ケレンディア)は、日本では2022年6月に薬価収載されたミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の一つで、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(但し末期腎不全、透析療法中の症例は除く)に適応があります。
抗アルドステロン剤MRAは以前からあり、スピロノラクトン・エプレレノン・エサキセレノンなどが挙げられますが、高血圧・心不全の治療に用いられており、MRAは左室駆出率の低下した心不全に対する第一選択の4種類の薬(fantastic 4:β遮断薬・SGLT2阻害剤・ARni・MRA)の一つでもあります。ですから、当初からフィネレノンも心不全治療薬として期待されていました。
FINEARTS-HF試験は、2020年9月14日~2023年1月10日の期間に37カ国654施設で左室駆出率40%以上の心不全6016症例を登録し、二重盲検で通常の心不全への薬物療法にフィネレノン20mg~40mg日を追加投与する群と通常の心不全治療薬投与のみのプラセボ群を1対1に割り付け、観察期間中の心不全悪化件数(心不全入院と心不全増悪での緊急受診)と心血管死の発生数を主要評価項目として比較しました。
中央値32ヶ月の観察期間での主要評価項目の有害事象発生数は、フィネレノン群3003症例の内624症例に1083件あり、プラセボ群は2998症例中719症例に1283件あり、ハザード比0.84とフィネレノン群で有意に低い事が判りました。心血管死は、フィネレノン群242件、プラセボ群260件で有意差は有りませんでしたが、心不全悪化件数は、フィネレノン群842件、プラセボ群1024件とフィネレノン群で有意に18%低い結果となりました。
HFpEF+軽度左室駆出率が低下した心不全症例に別のMRAであるスピロノラクトン追加投与の効果を評価したTOPCAT試験では、プラセボとの有意な違いが有りませんでした。FINEART-HF試験とTOPCAT試験との差が薬の性質の違い(フィネレノン:非ステロイド型MRA、スピロノラクトン:ステロイド型MRAなど)に因るものかどうかは現時点でははっきりとしていませんが、おそらく研究者はその様に考えているでしょう。
HFpEFの治療薬は、SGLT2阻害剤のエンパグリフロジン・ダパグリフロジンの2剤のエビデンスが確定しており、GLP-1作動薬のセマグルチドも有力視されており、このフィネレノンもそれらに続く治療手段として更に研究されるでしょう。
元来フィネレノン(商品名ケレンディア)は、日本では2022年6月に薬価収載されたミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の一つで、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(但し末期腎不全、透析療法中の症例は除く)に適応があります。
抗アルドステロン剤MRAは以前からあり、スピロノラクトン・エプレレノン・エサキセレノンなどが挙げられますが、高血圧・心不全の治療に用いられており、MRAは左室駆出率の低下した心不全に対する第一選択の4種類の薬(fantastic 4:β遮断薬・SGLT2阻害剤・ARni・MRA)の一つでもあります。ですから、当初からフィネレノンも心不全治療薬として期待されていました。
FINEARTS-HF試験は、2020年9月14日~2023年1月10日の期間に37カ国654施設で左室駆出率40%以上の心不全6016症例を登録し、二重盲検で通常の心不全への薬物療法にフィネレノン20mg~40mg日を追加投与する群と通常の心不全治療薬投与のみのプラセボ群を1対1に割り付け、観察期間中の心不全悪化件数(心不全入院と心不全増悪での緊急受診)と心血管死の発生数を主要評価項目として比較しました。
中央値32ヶ月の観察期間での主要評価項目の有害事象発生数は、フィネレノン群3003症例の内624症例に1083件あり、プラセボ群は2998症例中719症例に1283件あり、ハザード比0.84とフィネレノン群で有意に低い事が判りました。心血管死は、フィネレノン群242件、プラセボ群260件で有意差は有りませんでしたが、心不全悪化件数は、フィネレノン群842件、プラセボ群1024件とフィネレノン群で有意に18%低い結果となりました。
HFpEF+軽度左室駆出率が低下した心不全症例に別のMRAであるスピロノラクトン追加投与の効果を評価したTOPCAT試験では、プラセボとの有意な違いが有りませんでした。FINEART-HF試験とTOPCAT試験との差が薬の性質の違い(フィネレノン:非ステロイド型MRA、スピロノラクトン:ステロイド型MRAなど)に因るものかどうかは現時点でははっきりとしていませんが、おそらく研究者はその様に考えているでしょう。
HFpEFの治療薬は、SGLT2阻害剤のエンパグリフロジン・ダパグリフロジンの2剤のエビデンスが確定しており、GLP-1作動薬のセマグルチドも有力視されており、このフィネレノンもそれらに続く治療手段として更に研究されるでしょう。
27/Sep/2024