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30: 心血管疾患の二次予防に低用量コルヒチン
狭心症・心筋梗塞・脳梗塞などの心血管疾患発症後の二次予防目的の低用量のコルヒチン投与の効果を検証したメタ解析の結果が2024年10月8日のLancetランセットに発表されました。
コルヒチンは、古代エジプト時代からその効能が知られていたイヌサフランから1820年に初めて抽出された抗炎症剤で、主に痛風発作時の症状緩解・痛風発作予防に使用されます。
コルヒチンは、様々な機序で抗炎症作用を発揮しますが、主には、細胞内の微小管と結合し、微小管の延長・進展を阻害します。この事に因り白血球の一種である好中球・単核球の遊走、障害部位への接着・貪食作用を阻害し、炎症反応の生理活性蛋白質であるインターロイキン(IL)-1β・IL-6・IL-18などの放出を抑制します。
動脈硬化進展の機序・心筋梗塞/脳梗塞の発症には炎症反応が大きな役割を果たしており、抗炎症剤であるコルヒチンには動脈硬化に因る心血管疾患の再発予防効果が期待されていました。他の抗炎症剤では、カナキヌマブは余りに高額な薬価と致死的な感染症の危険性から臨床応用は進んでおらず、メソトレキセートは予防効果を認めませんでした。何よりコルヒチンは安価であり、発展途上国も含め広範に使用する事が可能です。
2013~2024年までに実施された心血管疾患の二次予防目的の低用量コルヒチン(0.5mg一回/日)の投与効果を検証した6つの無作為化比較試験の総数14934症例のうち7375例にコルヒチンが投与され、対象群は7363例で、観察期間中の脳梗塞・心筋梗塞・冠動脈再灌流治療施行・心血管死などの有害事象の発症数を比較しました。その結果コルヒチン投与群では、脳梗塞の発症は対照群に比較し27%少なく、全ての有害事象発生数も対照群に比べ27%少ない事が判りました。このコルヒチンの効果は、70歳以上と70歳未満のグループでの比較、男性・女性での比較・糖尿病の合併例と非合併例の比較・コレステロール値を低下させるスタチン剤の投与群/非投与群の比較でも有意差なく同等に認めていました。これは、かなり驚くべき結果で、高齢である方、男性、糖尿病合併例、スタチン非投与例の方が炎症反応は進行しているとこれまでの知見からは想定されており、予防効果に差が出ると予測されていたからです。これについての解釈はこれからされるでしょう。
2021年のヨーロッパ心臓病学会のガイドライン・2023年のアメリカ心臓協会/アメリカ心臓病学会共同のガイドラインで既に二次予防にコルヒチンは有用と勧告されていますが、この研究によってコルヒチンの二次予防目的の投与は広がると考えられます。
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31/Oct/2024
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