33: 肥満を伴ったHFpEFにチルゼパチド
チルゼパチド(商品名:マンジャロ®)は、グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)受容体とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体両者への作動薬で、2型糖尿病に適応があります。
このチルゼパチドの肥満を伴った左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)への効果を調べた臨床試験(SUMMIT trial)の結果が2025年1月30日のNew England Journal of Medicineに発表されました。
40歳以上、NYHA分類でⅡ~Ⅳ度の心不全の自覚症状がある、左室駆出率50%以上のHFpEF、BMIは30以上の肥満があり、カンザス市心筋症質問票(心不全評価の為開発された、身体制限・症状・自己評価・社会活動の12の項目に点数を付け100点が制限・症状が無い)の総点数(KCCQ-CSS)が80点未満・6分間歩行で100m~425mは歩ける731症例をチルゼパチド投与群364例とプラセボ群367例に振り分け中央値104週の期間観察しています。チルゼパチドは週一回2.5mg皮下注射から開始し20週で15mgまで漸増して投与されています。主要評価項目は、心血管死又は心不全増悪イベント(心不全に因る入院、救急外来での利尿剤静脈注射、通常外来で利尿剤内服薬追加投与を含む)で、開始前と52週でのKCCQ-CSSの変化も評価しています。
観察期間中の主要評価項目はチルゼパチド投与群で36症例認め、プラセボ群では56症例認め、ハザード比は0.62でした。特に心不全増悪イベントはチルゼパチド投与群で29例、プラセボ群では52例認め、ハザード比は0.54でした。KCCQ-CSSの変化は、チルゼパチド投与群で19.5点増加し、プラセボ群は12.7点増加し、チルゼパチド投与群が6.9点程高い結果でした。
肥満を伴ったHFpEFに対してGLP-1受容体作動薬のセマグルチドの効果を調査したSTEP-HFpEF試験があり、KCCQ-CSSの点数改善・体重減少・6分間歩行の改善は認めましたが、このSUMMIT試験のように死亡・心不全増悪イベントのプラセボに較べての減少は認めていません。この結果の差が、チルゼパチドのGIP受容体作動薬の効果に因るものかどうかは現時点では不明ですが、執筆者達はおそらくこの薬効の差に因るものと推測しているでしょう。
HFpEFへの治療薬はSGLT-2阻害剤のエンパグリフロジン・ダパグリフロジンがあり、フィネレノン、セマグルチド、そしてこのチルゼパチドも治療手段として追加される可能性は高いでしょう。
このチルゼパチドの肥満を伴った左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)への効果を調べた臨床試験(SUMMIT trial)の結果が2025年1月30日のNew England Journal of Medicineに発表されました。
40歳以上、NYHA分類でⅡ~Ⅳ度の心不全の自覚症状がある、左室駆出率50%以上のHFpEF、BMIは30以上の肥満があり、カンザス市心筋症質問票(心不全評価の為開発された、身体制限・症状・自己評価・社会活動の12の項目に点数を付け100点が制限・症状が無い)の総点数(KCCQ-CSS)が80点未満・6分間歩行で100m~425mは歩ける731症例をチルゼパチド投与群364例とプラセボ群367例に振り分け中央値104週の期間観察しています。チルゼパチドは週一回2.5mg皮下注射から開始し20週で15mgまで漸増して投与されています。主要評価項目は、心血管死又は心不全増悪イベント(心不全に因る入院、救急外来での利尿剤静脈注射、通常外来で利尿剤内服薬追加投与を含む)で、開始前と52週でのKCCQ-CSSの変化も評価しています。
観察期間中の主要評価項目はチルゼパチド投与群で36症例認め、プラセボ群では56症例認め、ハザード比は0.62でした。特に心不全増悪イベントはチルゼパチド投与群で29例、プラセボ群では52例認め、ハザード比は0.54でした。KCCQ-CSSの変化は、チルゼパチド投与群で19.5点増加し、プラセボ群は12.7点増加し、チルゼパチド投与群が6.9点程高い結果でした。
肥満を伴ったHFpEFに対してGLP-1受容体作動薬のセマグルチドの効果を調査したSTEP-HFpEF試験があり、KCCQ-CSSの点数改善・体重減少・6分間歩行の改善は認めましたが、このSUMMIT試験のように死亡・心不全増悪イベントのプラセボに較べての減少は認めていません。この結果の差が、チルゼパチドのGIP受容体作動薬の効果に因るものかどうかは現時点では不明ですが、執筆者達はおそらくこの薬効の差に因るものと推測しているでしょう。
HFpEFへの治療薬はSGLT-2阻害剤のエンパグリフロジン・ダパグリフロジンがあり、フィネレノン、セマグルチド、そしてこのチルゼパチドも治療手段として追加される可能性は高いでしょう。
31/Jan/2025