34: 身体活動は癌の進行・死亡率を抑制する
2025年1月7日のBritish Journal of Sports Medicine誌に南アフリカの研究グループは、運動する習慣がある人は、全く運動する習慣の無い人と較べて癌の進行の危険性と死亡率が低下していた、と発表しました。
南アフリカの医療保険制度DHMS(Discovery Health Medical Scheme)の記録を用いて、2008年1月から2022年10月までの期間に登録された28,248名のステージ1の癌症例を対象に身体活動度と癌の進行度・癌に因る死亡率の関連を調査しています。癌と診断される24ヶ月前から12ヶ月前までの身体活動の評価は、アップルウォッチの様な装着型の装置を用いて記録された身体活動のタイプ・回数・持続時間・強度、又はジムでの記録から行われ、全く運動しないグループ(登録数の61.8%)・低水準の身体活動(記録された運動時間が60分未満/週)のグループ(登録数の13.18%)・中等度~高水準の身体活動(記録された運動時間が60分以上/週)のグループ(登録数の25.02%)に分類され、三つのグループ間で比較しました。
その結果、癌は乳癌(22.5%)・前立腺癌(21.4%)・皮膚癌(11.5%)が多く、治療で運動が困難と想定される、白血病・多発性骨髄腫・悪性リンパ腫や甲状腺癌は分析から除外されています。癌に因る死亡率は、全く運動しないグループに較べ、低活動グループはハザード比0.67,中~高活動グループはハザード比0.53と低く、低活動と中~高活動グループの比較でも後者がハザード比0.79と低い事が判明しました。診断から癌が進行する危険度は、全く運動しないグループに比較し低活動グループはハザード比0.84,中~高活動グループはハザード比0.73と低く、低活動グループと中~高活動グループの比較も後者がハザード比0.88と低く、診断から5年間癌の進行がなかった割合は、全く運動しないグループで66%、低活動グループで71%、中~高活動グループで73%でした。
以前にも身体活動が癌の死亡率を下げたとの報告は幾つかあり、2018年の米国でのメタ解析では、乳癌・大腸癌・前立腺癌の死亡率が高水準の身体活動は低水準の活動度に較べ40〜50%低かったと報告しています。今回の報告は、自己報告や質問票に依らない、客観的に記録された運動量に基づいた結果である事・運動の癌進行度への影響を評価した事が新しいと云えます。この運動の効果は、運動に因り免疫力を強化している事、運動に因り性ホルモン濃度を調節する事で、性ホルモンの影響が大きい前立腺癌や乳癌の進行を抑制している事が機序として考えられる、と著者たちは考察しています。いずれにせよ、身体活動を増やす事は癌の予防・癌の進展抑制の為にも推奨されるべきでしょう。
南アフリカの医療保険制度DHMS(Discovery Health Medical Scheme)の記録を用いて、2008年1月から2022年10月までの期間に登録された28,248名のステージ1の癌症例を対象に身体活動度と癌の進行度・癌に因る死亡率の関連を調査しています。癌と診断される24ヶ月前から12ヶ月前までの身体活動の評価は、アップルウォッチの様な装着型の装置を用いて記録された身体活動のタイプ・回数・持続時間・強度、又はジムでの記録から行われ、全く運動しないグループ(登録数の61.8%)・低水準の身体活動(記録された運動時間が60分未満/週)のグループ(登録数の13.18%)・中等度~高水準の身体活動(記録された運動時間が60分以上/週)のグループ(登録数の25.02%)に分類され、三つのグループ間で比較しました。
その結果、癌は乳癌(22.5%)・前立腺癌(21.4%)・皮膚癌(11.5%)が多く、治療で運動が困難と想定される、白血病・多発性骨髄腫・悪性リンパ腫や甲状腺癌は分析から除外されています。癌に因る死亡率は、全く運動しないグループに較べ、低活動グループはハザード比0.67,中~高活動グループはハザード比0.53と低く、低活動と中~高活動グループの比較でも後者がハザード比0.79と低い事が判明しました。診断から癌が進行する危険度は、全く運動しないグループに比較し低活動グループはハザード比0.84,中~高活動グループはハザード比0.73と低く、低活動グループと中~高活動グループの比較も後者がハザード比0.88と低く、診断から5年間癌の進行がなかった割合は、全く運動しないグループで66%、低活動グループで71%、中~高活動グループで73%でした。
以前にも身体活動が癌の死亡率を下げたとの報告は幾つかあり、2018年の米国でのメタ解析では、乳癌・大腸癌・前立腺癌の死亡率が高水準の身体活動は低水準の活動度に較べ40〜50%低かったと報告しています。今回の報告は、自己報告や質問票に依らない、客観的に記録された運動量に基づいた結果である事・運動の癌進行度への影響を評価した事が新しいと云えます。この運動の効果は、運動に因り免疫力を強化している事、運動に因り性ホルモン濃度を調節する事で、性ホルモンの影響が大きい前立腺癌や乳癌の進行を抑制している事が機序として考えられる、と著者たちは考察しています。いずれにせよ、身体活動を増やす事は癌の予防・癌の進展抑制の為にも推奨されるべきでしょう。
28/Feb/2025