37: ワクチン接種で認知症の発症を抑制
近年の臨床研究は、成人へのワクチン接種が認知症の発症を抑制する効果を持っている事を報告しています。
2001年~2021年までの17件の臨床研究1,857,134症例のメタ解析は、65歳以上に対するインフルエンザワクチン・帯状疱疹ワクチン・三種混合(破傷風・ジフテリア・百日咳)ワクチン・BCGワクチン・肺炎球菌ワクチン・A型肝炎ワクチン・B型肝炎ワクチン接種はそれぞれ非接種症例に較べ平均で35%認知症の発症を抑制した事を示しています(Xinhui Wu et al. Frontiers in Immunology 2022 Vol.13)。
2023年8月にはテキサス大学のグループが1,651,991症例の8年間の医療記録の追跡調査の結果を報告しました。それに拠りますと、三種混合ワクチンを接種した群は、非接種群に較べ8年の観察期間のアルツハイマー病の発症は30%低く、帯状疱疹ワクチン接種群は非接種群に較べ25%、肺炎球菌ワクチン接種群は非接種群に較べ27%アルツハイマー病の発症の危険性が低い事が判りました。同じテキサス大学の研究グループは、インフルエンザワクチン接種群と非接種群との4年間の観察期間中のアルツハイマー病発症数を比較し、インフルエンザワクチン接種群で40%認知症の発症が少なく、この効果は接種回数が多い程高い、と2022年に報告しています。
又、2025年4月にはスタンフォード大学の研究グループが、英国ウェールズのおよそ28万例の医療記録から帯状疱疹弱毒生ワクチン接種群は非接種群に較べ認知症発症の危険性が20%低い、と報告しました。
これらのワクチン接種の効果は、何に由来するのでしょうか。ワクチンの標的である様々なウイルス・細菌感染による神経系の炎症をワクチン接種で予防・軽減しているのかもしれません。有力視されているのは、ワクチン接種により一般的な生体固有の免疫力を活性化し、適切な免疫反応を訓練している、非特異的反応・off-target効果に因る、という仮説です。このオフターゲット効果で、ミクログリアを適切に活性化し、ミクログリア等免疫細胞がアルツハイマー病に関連する蛋白質(アミロイドβ)を除去する効果を高め、周囲の脳細胞の付随的損傷を軽減させている可能性がある、と考えられています。
認知症予防の為にも、高齢者がインフルエンザ・肺炎球菌・帯状疱疹に対するワクチン接種を受ける意義は大きいでしょう。
2001年~2021年までの17件の臨床研究1,857,134症例のメタ解析は、65歳以上に対するインフルエンザワクチン・帯状疱疹ワクチン・三種混合(破傷風・ジフテリア・百日咳)ワクチン・BCGワクチン・肺炎球菌ワクチン・A型肝炎ワクチン・B型肝炎ワクチン接種はそれぞれ非接種症例に較べ平均で35%認知症の発症を抑制した事を示しています(Xinhui Wu et al. Frontiers in Immunology 2022 Vol.13)。
2023年8月にはテキサス大学のグループが1,651,991症例の8年間の医療記録の追跡調査の結果を報告しました。それに拠りますと、三種混合ワクチンを接種した群は、非接種群に較べ8年の観察期間のアルツハイマー病の発症は30%低く、帯状疱疹ワクチン接種群は非接種群に較べ25%、肺炎球菌ワクチン接種群は非接種群に較べ27%アルツハイマー病の発症の危険性が低い事が判りました。同じテキサス大学の研究グループは、インフルエンザワクチン接種群と非接種群との4年間の観察期間中のアルツハイマー病発症数を比較し、インフルエンザワクチン接種群で40%認知症の発症が少なく、この効果は接種回数が多い程高い、と2022年に報告しています。
又、2025年4月にはスタンフォード大学の研究グループが、英国ウェールズのおよそ28万例の医療記録から帯状疱疹弱毒生ワクチン接種群は非接種群に較べ認知症発症の危険性が20%低い、と報告しました。
これらのワクチン接種の効果は、何に由来するのでしょうか。ワクチンの標的である様々なウイルス・細菌感染による神経系の炎症をワクチン接種で予防・軽減しているのかもしれません。有力視されているのは、ワクチン接種により一般的な生体固有の免疫力を活性化し、適切な免疫反応を訓練している、非特異的反応・off-target効果に因る、という仮説です。このオフターゲット効果で、ミクログリアを適切に活性化し、ミクログリア等免疫細胞がアルツハイマー病に関連する蛋白質(アミロイドβ)を除去する効果を高め、周囲の脳細胞の付随的損傷を軽減させている可能性がある、と考えられています。
認知症予防の為にも、高齢者がインフルエンザ・肺炎球菌・帯状疱疹に対するワクチン接種を受ける意義は大きいでしょう。
26/May/2025