38: フィネレノンは、フレイルを伴った心不全にも有効
2025年6月18日のJAMA CardiologyにFINEARTS-HF試験の二次解析の結果が発表されました。その結果、フィネレノンはフレイルを合併した左室駆出率が軽度低下した心不全(HFmrEF)、左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)に対しても有効性を示していました。
フィネレノン(商品名:ケレンディア®)は、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)で、元来2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に適応があります。 FINEARTS-HF試験は、2024/9/1に発表され、2020/9/14~2023/1/10の期間に37カ国653施設で左室駆出率40%以上の心不全6016症例を登録し、二重盲検で通常の心不全への薬物療法にフィネレノン20mg~40mg/日を追加投与する群と通常の心不全治療薬投与のみのプラセボ群を1対1に割り付け、観察期間中の心不全悪化件数(心不全入院と心不全増悪での緊急受診)と心血管死の発生数を主要評価項目として比較していました。
フレイル(Frailty)は身体的・精神的・社会的活動が低下した状態を指します。国立長寿研究センターによる基準では 1)6ヶ月で2~3㎏の体重減少 2)握力低下 男性26kg未満 女性18㎏未満 3)ここ2週間訳もなく疲れたような感じがする 4)歩行速度1.0m/秒未満 5)軽い体操・運動をしていない 定期的な運動・スポーツをしていない:この5項目のうち3項目以上が当てはまるとフレイルと診断されます。
心不全とフレイルには前-炎症性変化・ミトコンドリアの機能不全からのエネルギー生産減少などの共通する病態があり、心不全にフレイルが合併する割合は一般の6倍もあり、心不全症例の50%近くにフレイルを合併しています。そしてフレイルを合併した心不全は、フレイルを伴っていない心不全症例の1.5~2倍も入院・死亡の危険性が高い、と云われています。
今回6016例中5952例でフレイル・インデックス(FI)を算出して、フレイル無し1588症例(FI<0.210)、軽症フレイル2141症例(FI:0.211~0.310)、重症フレイル2223症例(FI>0.311)の三群に分け、それぞれの群でのフィネレノン投与とプラセボ症例での主要評価項目を比較しています。フレイル無し群と比較して、主要評価項目発生の危険性は、軽症フレイル群で未調整率比(RR)1.88、重症フレイル群でRR 3.86と、フレイルの合併は予後を増悪させていました。フィネレノン投与の効果は、フレイル無し群でのプラセボ対照でRR 1.07、軽症フレイル群でRR 0.66、重症フレイル群でRR 0.91と、主要評価項目発生数の危険性を低下させていました。
HFpEFは、高齢者に多く、フレイルを合併する危険性も高く、フレイルを改善させる・フレイルを予防する事は、HFpEFの治療において大きな役割を果たします。
フィネレノン(商品名:ケレンディア®)は、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)で、元来2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に適応があります。 FINEARTS-HF試験は、2024/9/1に発表され、2020/9/14~2023/1/10の期間に37カ国653施設で左室駆出率40%以上の心不全6016症例を登録し、二重盲検で通常の心不全への薬物療法にフィネレノン20mg~40mg/日を追加投与する群と通常の心不全治療薬投与のみのプラセボ群を1対1に割り付け、観察期間中の心不全悪化件数(心不全入院と心不全増悪での緊急受診)と心血管死の発生数を主要評価項目として比較していました。
フレイル(Frailty)は身体的・精神的・社会的活動が低下した状態を指します。国立長寿研究センターによる基準では 1)6ヶ月で2~3㎏の体重減少 2)握力低下 男性26kg未満 女性18㎏未満 3)ここ2週間訳もなく疲れたような感じがする 4)歩行速度1.0m/秒未満 5)軽い体操・運動をしていない 定期的な運動・スポーツをしていない:この5項目のうち3項目以上が当てはまるとフレイルと診断されます。
心不全とフレイルには前-炎症性変化・ミトコンドリアの機能不全からのエネルギー生産減少などの共通する病態があり、心不全にフレイルが合併する割合は一般の6倍もあり、心不全症例の50%近くにフレイルを合併しています。そしてフレイルを合併した心不全は、フレイルを伴っていない心不全症例の1.5~2倍も入院・死亡の危険性が高い、と云われています。
今回6016例中5952例でフレイル・インデックス(FI)を算出して、フレイル無し1588症例(FI<0.210)、軽症フレイル2141症例(FI:0.211~0.310)、重症フレイル2223症例(FI>0.311)の三群に分け、それぞれの群でのフィネレノン投与とプラセボ症例での主要評価項目を比較しています。フレイル無し群と比較して、主要評価項目発生の危険性は、軽症フレイル群で未調整率比(RR)1.88、重症フレイル群でRR 3.86と、フレイルの合併は予後を増悪させていました。フィネレノン投与の効果は、フレイル無し群でのプラセボ対照でRR 1.07、軽症フレイル群でRR 0.66、重症フレイル群でRR 0.91と、主要評価項目発生数の危険性を低下させていました。
HFpEFは、高齢者に多く、フレイルを合併する危険性も高く、フレイルを改善させる・フレイルを予防する事は、HFpEFの治療において大きな役割を果たします。
30/Jun/2025