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39: アルドステロン合成酵素阻害剤
アルドステロンは、副腎皮質から分泌される鉱質コルチコイドホルモンのⅠ種で、血圧上昇・体液水分量を管理する作用があります。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン-鉱質コルチコイド受容体の一連の系統には、血圧管理・心疾患治療の標的としてこれまでに直接的レニン阻害剤・ACE阻害剤(ACEI)・アンジオテンシン受容体拮抗剤(ARB)・鉱質コルチコイド受容体拮抗剤などが開発され使用されてきました。
治療抵抗性高血圧は、作用機序の異なる3種類の降圧剤を使用しても目標値まで血圧が低下しない高血圧と定義されます。その要因の一つとして、処方された通りにキチンと服薬しない・服薬忘れの、服薬アドヒアランス不良が挙げられますが、アルドステロンブレイクスルーという現象も関与しているのではないかと考えられています。これは、ACEI・ARB・直接的レニン阻害剤を長期間使用しても、アルドステロンを抑制する事が困難になる病態です。アルドステロンブレイクスルーでは、実際にアルドステロン濃度の上昇が確認された症例もアルドステロン濃度が正常範囲の症例もあり、その機序も幾つか提案されていますが、アルドステロン産生を刺激する経路・要素は複数ある、という事実が根本の様です。
近年、アルドステロン合成酵素阻害剤が幾つか開発され(Baxdrostat:バクスドロスタット、Lorundrostat:ロルンドロスタット)、治療抵抗性高血圧症例への第2相・第3相臨床試験が行われ、その結果も報告されています。
Journal of American Medical Associationジャーナル オブ アメリカン メディカル アソシエーション(JAMA)に2025年6月30日発表されたLaunch-HTN試験は、治療抵抗性高血圧症例に対するLorundrostatの上乗せ効果を検証したランダム化プラセボ対照研究です。欧米・豪州の13カ国の1083症例をプラセボ群270症例、Lorundrostat:50mg/日投与群538症例、Lorundrostat:50→100mg/日投与群270症例に振り分け、6週後の収縮期血圧の低下量を主要評価項目にしています。その結果、Lorundrostat群はプラセボ群と比較して平均9.1mmHgも低く降圧効果を示していました。興味深いのは、症例の基礎降圧療法背景でサイアザイド系利尿剤が95%前後、ACEI/ARBが83~88%、カルシウム拮抗剤が50~52%の症例に投与されており、ACEI・ARBの使用頻度が高く、アルドステロン合成酵素阻害剤はアルドステロンブレイクスルーへの有力な対処法としても注目され、今後臨床応用が広まるでしょう。
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31/Jul/2025
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