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08: 一日2~3杯のコーヒーで心血管疾患発症の危険性が低下
2022年9月European Journal of Preventive Cardiologyヨーロピアン ジャーナル オブ プリヴェンティヴ カーディオロジー(ヨーロッパ予防循環器病学雑誌)にメルボルン大学の研究グループは、コーヒーを飲む習慣のある人はコーヒーを全く飲まない人に較べて心血管疾患(CVD)、死亡の危険性が低いとの結果を報告しました。
UKバイオバンクという英国の40~69才のボランティア50万人を2006年~2010年にかけて登録し、30年間かけて栄養・遺伝子・薬物療法・生活様式が疾患に対して与える影響を調査する前向き研究の一環として、コーヒー摂取のCVD発症・不整脈発症・死亡に対する効果を調べました。カフェインを除去したコーヒー(デカフェ)・インスタントコーヒー・豆を挽いたコーヒー(グラウンド)の三種類のコーヒーを毎日0杯、一杯未満、1杯、2~3杯、4~5杯、5杯以上/日飲む習慣がある症例群と全くコーヒーを飲まない症例を対照群として、登録時に心房細動・CVDが認められた症例を除外した総症例数449563症例(年齢中央値58才・女性が55.3%)を中央値12.5年の期間に追跡調査しています。(因みに通常のコーヒーカップの容量は120~150㎖程です)。
コーヒーを飲む習慣がない対照群(100510症例)と比較してコーヒー摂取群は、心房粗細動・上室性頻拍・心室性頻拍などの不整脈が発症する危険性が低く、グラウンドを一日4~5杯摂取する群でハザード比0.83、インスタントコーヒーを一日2~3杯摂取する群ではハザード比0.88と低かったのに、デカフェでは有意な低下は認められませんでした。
CVD発症と死亡については、3種類のコーヒー摂取群は全て、対照群と較べ有意に危険性が低下しており、特に一日2~3杯摂取する群で最も低いU字型の相関を示していました。(CVD・デカフェ;ハザード比0.94,インスタントコーヒー;ハザード比0.91、グラウンド;ハザード比0.80。死亡・デカフェ;ハザード比0.86、インスタントコーヒー:ハザード比0.89,グラウンド;ハザード比0.73)。
コーヒーに含まれるカフェインを始めとしたポリフェノールがインスリン感受性を鋭敏にする・血管内皮からの一酸化窒素(NO)産生を増やす・脂質生合成を低下させるなどの作用や抗酸化作用を有している事が、この研究結果の機序と考えられます。しかしカフェインを過剰に摂取すると、不安/落ち着きのなさ/興奮などの精神的悪影響・交感神経を刺激して血圧を上昇させる・細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させ不整脈が起こり易くなるなどの副反応も危惧され、この事がコーヒー摂取量と危険性低下の相関がU字型を示した理由かもしれません。
では、同じ様にカフェインを含む緑茶ではどうなのでしょうか?2006年にJAMA®に掲載された東北大学のOhsaki Studyでは、宮城県の40~79才40530症例を11年間追跡していますが、緑茶でも同じくCVD・全ての原因の死亡を低下させる効果があり、特に女性で緑茶を一日5杯以上(500㎖以上/日)摂取する群でCVDが原因の死亡の危険性がハザード比0.69と低かったと報告しています。
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