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07: 代替塩で死亡の危険性が低下
代替塩とは、100%のNaCL(塩化ナトリウム)では無く、NaCLの含有量を減らし、その変わりにKCL(塩化カリウム)を色々な割合で混合した物を指します。
2021年9月New England Journal of Medicineニュー イングランド ジャーナル オブ メディシンにオーストラリア・中国の研究グループによる代替塩の脳卒中高リスク群への効果を検証するランダム化比較試験の結果が発表されました。対象は中国国内の田舎の600の村の脳卒中の既往の有る症例・60才以上の血圧の高い症例(降圧剤内服治療例で収縮期血圧140mmHg以上か降圧剤を内服していない症例では収縮期血圧160mmHg以上)20995名で、村毎に通常の100%のNaCLを摂取するコントロール群300村とNaCL75%・KCL25%の代替塩を摂取する介入群300村に分けます。一次評価項目は、脳卒中の発症、二次評価項目は、主要心血管イベント(非致死的な急性冠症候群・非致死な脳卒中・血管由来の死亡の複合)と様々な原因の死亡で、評価項目の発症数を介入群とコントロール群で平均4.75年の観察期間で比較しました。全症例の平均年齢は65.4才で全症例の49.5%が女性、72.6%に脳卒中の既往歴が、88.4%に高血圧の既往があり、79.3%が降圧剤を内服しており、平均血圧は154.0/89.2mmHgでした。解析の結果介入群はコントロール群に比較して収縮期血圧で3.3mmHg低く、一次評価項目の発症数では介入群はコントロール群に較べ0.86と有意に低く、主要心血管イベントも0.87、死亡も0.88と有意に低い事が判明し、この危険性低下の効果は、年齢・性・教育歴などの下位グループ解析でも一貫していました。高カリウム血症の発症は331件と僅かで、介入群・コントロール群での有意差はありませんでした。
上記の研究は中国国内だけの成果でしたので、他の人種・地域でも代替塩が心血管イベントを低下させるのかどうかを検討した、他のランダム化比較試験21件のメタ解析を北京大学の研究グループが行い、2022年9月にHeartハートに結果を発表しました。米国・欧州・東南アジア・西太平洋地域で実施されたランダム化比較試験で、代替塩のNaCLの割合は33%~75%、カリウムの割合は25~65%でした。代替塩により全死亡の危険性は11%減少し、心血管死のリスクは13%、主要心血管イベントのリスクは11%減少した事が判り、地域・人種を超えて代替塩による保護効果が認められました。
腎機能障害例へのカリウム負荷は高カリウム血症が懸念される事は、上記の研究でも完全に払拭された訳でもありませんが、代替塩の普及が広がる契機になる影響力を持った報告と思います。
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