49: 高齢フレイル非ST上昇心筋梗塞症例に対する侵襲的・保存的療法の比較
2026年4月21日のJAMAオンラインにSENIOR-RITA研究の副次解析の結果が発表されました。
SENIOR-RITAは、イギリスの48施設で2016年11月1日から2023年3月31日までの期間に登録された、75歳以上の非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)1518症例を、冠動脈造影を行い血行再建術もしくは至適標準療法を行う侵襲的加療群と保存的に至適標準治療を行う群に1:1に無作為に振り分けて、両群の心血管死・非致死的心筋梗塞の発症数を比較した研究ですが、両群間に有意な差が無かったとの結果が話題になりました。
今回の副次解析は、フレイルと診断されたNSTEMI症例での侵襲的加療群と保存的加療群の有害事象(心血管死・非致死的心筋梗塞)発生数を比較しています。フレイルの診断はフリード・フレイル基準で3項目以上該当した場合です。フリード・フレイル基準とは、1)意図せず1年間で10ポンド(≒4.5kg)の体重減少がある 2)最近4週間に日中休息を取りたくなるような疲労感がある 3)身体活動の低下:中等度以上の身体活動を殆どしていない 4)筋力低下:肥満度で異なるが、男性で握力が3回測定の平均値で29kg~32kg以下、女性で17kg~21kg以下 5)歩行速度の低下:身長で異なるが、15フィート(≒4.5m)歩くのに6~7秒以上掛かる:の5項目です。
SENIOR-RITAの1518症例中フレイルと診断されたのは469症例(平均年齢83歳、女性51.2%平均観察期間4.1年)で、侵襲的加療群231症例と保存的加療群238症例では有害事象の発生数に統計的に有意差はありませんでしたが、侵襲的加療群で多い傾向がありました(有害事象発生割合:侵襲的加療群37.7% vs 保存的加療群29.4%)。
この結果をどの様に解釈すべきでしょうか?先ず、症例数が左程多くない事は欠点でしょうし、侵襲的加療群で心臓カテーテル検査を施行したのが平均して入院5日目であった事は、日本との大きな違いでしょう。又、元々のSENIOR-RITAでは、プロトコール逸脱が多く、例えば保存的加療群の25%近くが観察期間に冠動脈造影が行われており、侵襲的加療群で血行再建術が施行されたのが症例の49.9%であった事は、結果に影響を与えた可能性を否定できません。医療費抑制の為、侵襲的加療を制限すべきとの研究の前提があったのかも知れません。現時点では日本での医療環境で、参考にする程度でしょう。但し、フレイルがある症例には慎重な治療方針決定が必要とされるでしょうし、もしかしたら75歳以上高齢者には全てフレイル診断を予めすべき、との意見も出るかもしれません。
SENIOR-RITAは、イギリスの48施設で2016年11月1日から2023年3月31日までの期間に登録された、75歳以上の非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)1518症例を、冠動脈造影を行い血行再建術もしくは至適標準療法を行う侵襲的加療群と保存的に至適標準治療を行う群に1:1に無作為に振り分けて、両群の心血管死・非致死的心筋梗塞の発症数を比較した研究ですが、両群間に有意な差が無かったとの結果が話題になりました。
今回の副次解析は、フレイルと診断されたNSTEMI症例での侵襲的加療群と保存的加療群の有害事象(心血管死・非致死的心筋梗塞)発生数を比較しています。フレイルの診断はフリード・フレイル基準で3項目以上該当した場合です。フリード・フレイル基準とは、1)意図せず1年間で10ポンド(≒4.5kg)の体重減少がある 2)最近4週間に日中休息を取りたくなるような疲労感がある 3)身体活動の低下:中等度以上の身体活動を殆どしていない 4)筋力低下:肥満度で異なるが、男性で握力が3回測定の平均値で29kg~32kg以下、女性で17kg~21kg以下 5)歩行速度の低下:身長で異なるが、15フィート(≒4.5m)歩くのに6~7秒以上掛かる:の5項目です。
SENIOR-RITAの1518症例中フレイルと診断されたのは469症例(平均年齢83歳、女性51.2%平均観察期間4.1年)で、侵襲的加療群231症例と保存的加療群238症例では有害事象の発生数に統計的に有意差はありませんでしたが、侵襲的加療群で多い傾向がありました(有害事象発生割合:侵襲的加療群37.7% vs 保存的加療群29.4%)。
この結果をどの様に解釈すべきでしょうか?先ず、症例数が左程多くない事は欠点でしょうし、侵襲的加療群で心臓カテーテル検査を施行したのが平均して入院5日目であった事は、日本との大きな違いでしょう。又、元々のSENIOR-RITAでは、プロトコール逸脱が多く、例えば保存的加療群の25%近くが観察期間に冠動脈造影が行われており、侵襲的加療群で血行再建術が施行されたのが症例の49.9%であった事は、結果に影響を与えた可能性を否定できません。医療費抑制の為、侵襲的加療を制限すべきとの研究の前提があったのかも知れません。現時点では日本での医療環境で、参考にする程度でしょう。但し、フレイルがある症例には慎重な治療方針決定が必要とされるでしょうし、もしかしたら75歳以上高齢者には全てフレイル診断を予めすべき、との意見も出るかもしれません。
26/May/2026