53: 痛風発作と頻脈性不整脈の関係
2026年6月16日のLancet primary-careオンラインに痛風発作と頻脈性不整脈の関係についての大規模研究の結果が掲載されました。英国・スウェーデン・イタリア合同の研究グループが英国とスウェーデンのデータから抽出された18歳以上の新たに痛風と診断された症例を新規に頻脈性不整脈と診断される事を主要評価項目・曝露を痛風発作としてネステッド(入れ込み)症例対象研究・自己対照症例研究という二つの統計方法を用いて、痛風発作による頻脈性不整脈発症の調整後オッズ比と調整後発生率比を算出しました。
調査期間中に英国の新たに痛風発作を起こした260254例のうち20157例の頻脈性不整脈症例と76835例の対照群を、スウェーデンの新たに痛風発作を起こした19346症例の内1995例の頻脈性不整脈症例と6086例の対照群を比較しています。英国の症例の平均年齢は76.3歳で女性は31.1%を占め、スウェーデンの症例の平均年齢も76.3歳で女性の割合は31.5%でした。
対照群と比較して、痛風発作後30日までに再度痛風発作が発生する危険性は英国グループでは調整後オッズ比1.41,スウェーデングループではオッズ比1.71と高い事が判りました。自己対照症例研究(英国2893例、スウェーデン150症例)で頻脈性不整脈の調整後発生比率を算出すると、英国群では、基準期間と比べ痛風発作後30日までは1.44,31~60日までは1.34と高く、スウェーデン群では痛風発作後30日までは4.15,31~60日までは2.25と高い事が判明しました。つまり、痛風発作後60日後まで頻脈性不整脈(主に心房細動・心房粗動ですが)発症の危険性が高い、という事を初めて報告しています。
今までも痛風症例での頻脈性不整脈発症の調整後ハザード比が1.09~1.83と高い事は幾つかの研究で報告されていますが、痛風発作後の短期間での不整脈誘発の危険性を指摘したものはありませんでした。
痛風発作は、尿酸結晶によってNLRP-3炎症小体-IL-1β経路の炎症反応が活性化されて引き起こされます。感染症や大手術の後に一時的に頻脈性不整脈発症の危険性が上昇した、との過去の報告も幾つかありますが、これらも炎症反応が不整脈を誘発する事の証拠と言えるでしょう。又、動物実験でNLRP-3 -IL-1β経路の活性化が心房細動の発症感受性と関連しているという報告があり、手術後・アブレーション後の心房細動をコルヒチン(NLRP-3炎症小体活性化の阻害剤)を使用する事で減少させた、との報告もあり、これらはIL-1βを経由する炎症反応の不整脈原性理論を支持していると、と著者たちは考察しています。
この研究から、痛風発作後60日までは、不整脈が発生していないか、注意深く観察する必要性があることが導き出されますが、無症状でもホルター心電図を複数回確認すべきか、痛風発作が落ち着いても、コルヒチンを60日間使用して不整脈を予防すべきか、は議論の余地があるでしょう。
調査期間中に英国の新たに痛風発作を起こした260254例のうち20157例の頻脈性不整脈症例と76835例の対照群を、スウェーデンの新たに痛風発作を起こした19346症例の内1995例の頻脈性不整脈症例と6086例の対照群を比較しています。英国の症例の平均年齢は76.3歳で女性は31.1%を占め、スウェーデンの症例の平均年齢も76.3歳で女性の割合は31.5%でした。
対照群と比較して、痛風発作後30日までに再度痛風発作が発生する危険性は英国グループでは調整後オッズ比1.41,スウェーデングループではオッズ比1.71と高い事が判りました。自己対照症例研究(英国2893例、スウェーデン150症例)で頻脈性不整脈の調整後発生比率を算出すると、英国群では、基準期間と比べ痛風発作後30日までは1.44,31~60日までは1.34と高く、スウェーデン群では痛風発作後30日までは4.15,31~60日までは2.25と高い事が判明しました。つまり、痛風発作後60日後まで頻脈性不整脈(主に心房細動・心房粗動ですが)発症の危険性が高い、という事を初めて報告しています。
今までも痛風症例での頻脈性不整脈発症の調整後ハザード比が1.09~1.83と高い事は幾つかの研究で報告されていますが、痛風発作後の短期間での不整脈誘発の危険性を指摘したものはありませんでした。
痛風発作は、尿酸結晶によってNLRP-3炎症小体-IL-1β経路の炎症反応が活性化されて引き起こされます。感染症や大手術の後に一時的に頻脈性不整脈発症の危険性が上昇した、との過去の報告も幾つかありますが、これらも炎症反応が不整脈を誘発する事の証拠と言えるでしょう。又、動物実験でNLRP-3 -IL-1β経路の活性化が心房細動の発症感受性と関連しているという報告があり、手術後・アブレーション後の心房細動をコルヒチン(NLRP-3炎症小体活性化の阻害剤)を使用する事で減少させた、との報告もあり、これらはIL-1βを経由する炎症反応の不整脈原性理論を支持していると、と著者たちは考察しています。
この研究から、痛風発作後60日までは、不整脈が発生していないか、注意深く観察する必要性があることが導き出されますが、無症状でもホルター心電図を複数回確認すべきか、痛風発作が落ち着いても、コルヒチンを60日間使用して不整脈を予防すべきか、は議論の余地があるでしょう。
30/Sep/2026